白熊あやめちゃん
ヤッキムン
あやめっち
わたしは白熊文女。
みんなから「あやめっち」と呼ばれている。
小学4年生。
今はパリに住んでいる。
小3まではロンドンに住んでいた。
ママもパパも関西人。
わたしも、家では関西弁。
友達は、イレーヌちゃんとマーリアちゃん。
イレーヌちゃんも、マーリアちゃんも、それぞれのママは大阪の人やから、ふたりも大阪弁でしゃべる。
だから、3人で、いつも関西弁でしゃべっている。
今日も
「オルセー美術館に行こか~」
ってマーリアちゃんは言う。
「ええよ~」
「また、あの絵やな~」
って、3人でオルセー美術館に行く。
あの絵と言うのは、オルセー美術館にある「ヴィーナス誕生」の絵のことだ。
「いつ観ても、ええな~」
「ほんまやな~」
「ヴィーナスさん、可愛いな~」
「飛んでる天使も、可愛いよな~」
「ほんまそれな~」
「こんな絵、描いてみたいな~」
「ほんまに~な」
☆
3人とも関西弁好きや。
パリの街を歩きながら、関西弁でしゃべる。
関西弁も、なんか、パリの街とも似合う。
まあ、そんなに、パリの人も、「~やん」とか、や行の発音、多いわけではない。
鼻にかかるような発音、多い気する。
でも、関西弁の「~やないの~」「なんなん?」
「そやな~」みたいに言ってても、パリの街と似合っている。
美術館の多い、芸術の街に、なぜか関西弁の、やわらかくて可愛らしい発音も、ぴったり合っているからフシギ。
可愛いバレエとかにも、関西弁の発音、似合う。
☆
3人で、セーヌ川の遊覧船に乗った。
船から、パリの街をながめていた。
と思ったら
ブクブクブクブク~
って船はセーヌ川を潜りはじめた。
「うわっ!この船、潜ってるで~」
「潜水艦なん?」
「どこ行くんやろ?」
って言ってたら、船は、だんだん上へと昇りはじめた。
ザッブーン
って川の上に、浮き上がった。
「なんか、いつものパリの街と、ちがうで~」
「どこやここ~?」
「セーヌ川ちゃうよな~」
「ほんまや~!海やん」
「地中海ちゃうか~」
「なんで地中海に来たん?」
そしたら、船は、陸に停泊した。
船着き場で船をおりた。
街を歩いたら、ニースみたいだ。
「ここニースなん?」
「ニースに来たん?」
「やったあ」
なんとなく、3人で海沿いを歩いていた。
「あっ!可愛いホテル」
ってイレーヌちゃんは指さした。
「あっ、ほんまや!なんか可愛い」
「行ってみよか」
「そやな」
3人で、海沿いの可愛いちっちゃなホテルに入ってみた。
ロビーには、めっちゃ可愛い絵、いっぱい飾られてある。
「うわっ!きれいな絵」
「壁いっぱいに飾られてる」
「ニースの風景画やな」
「この、ちっちゃなホテルにめっちゃ似合う」
「だれの描いた絵なんやろな~?」
「ロビーの人に聞いてみよか」
マーリアちゃんは、フランス語で
「あの絵を描いたのは、だれなんですか?」
って聞いていた。
「ああ、あの絵たちは、みんな、アヤメッチさんの描いた絵ですよ」
「えっ?アヤメッチさん?」
「はい!画家であるアヤメッチさんの風景画です。めっちゃきれいですよね。わたしも、どの絵もみんな大好きです」
「「「ええーっ!アヤメッチ~?」」」
3人とも、驚いた声をあげた。
「アヤメッチって、だれなん?」
「アヤメッチって、あやめっち?」
「あやめっち、この絵、描いてたん?」
「いや、わたしは描いてへん。こんな、きれいな風景画、よう描かへんわ」
「なんか、サインみたいなん、してあるよ」
「どれどれ?...あっ、ほんまや」
「アヤメッチって、描いてある」
「この文字、あやめっちの字に似てるな~」
「ほんま、ほんま。あやめっちの書いてる文字に似てる」
「そやな~。たしかに似てるかな~」
「あやめっち書いたん?」
「いや、書いてないと思う...」
「でも、カタカナで、アヤメッチって書いてある」
☆
「あっ!起きた?」
「目、覚めた?」
って、イレーヌちゃんとマーリアちゃんに言われた。
「えっ?寝てたん?ここどこ?ニース?」
「なんでやねんな」
「オルセー美術館のカフェで休憩してたら、グ~グ~寝はじめたから」
「ええーっ!そうなんや~」
「なんか夢でもみてたん?」
「えっ?ちょっとな」
「どんな夢なん?」
「えっとな~、3人でセーヌ川の遊覧船に乗ってたらな...あとは教えへん」
「えー、なんでー?」
「わたしも、今日から、絵でも描いてみよかなー。本格的に」
☆☆☆おわり☆☆☆
白熊あやめちゃん ヤッキムン @yakkimn
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