道交わる双子の姉妹
仲仁へび(旧:離久)
第1話
私達は双子の女の子。
「おねーちゃん、今日もかわりっこしよ」
「いーわよ。めいっぱい皆に悪戯して楽しみましょ」
顔も声もそっくりだから、入れ替わっても誰も気がつかない。
だから、学校で家で、時々入れ替わる遊びをしているの。
「えっ、妹の方だったの?」
「えっ、お姉ちゃんの方だったの?」
大人たちがあたふたしているのを見ると、とても楽しいわ。
私達は互いのことを完璧に把握してるから、入れ替わりなんて、呼吸する次くらいには簡単にできる。
すごいでしょ?
互いが互いにそう。
分かり合ってる。
だから、自慢の相方なの。
きっと誰も、ずっと……私たちの入れ替わりを見抜くことはできないわね!
無邪気だった子供の頃の回想を終えて、現実を直視する。
ずっと二人で生きていくものだと、あの頃は思っていたけれど……。
大人になった私は、会社の屋上に立っていた。
スーツを風になびかせて、過去の出来事を頭からふりはらう。
「私、実はいれかわってたの」
そう言った私の目の前にいる人物。一人の男は、うろたえてしまう後ずさった。
男は、会社の社長だ。
けれど、立場をふりかざして、人に好き放題している。
たくさんの人が被害にあった。
私の相方もそう。
だから制裁を加えなければ。
「あなたが虐めた女の子達の一人は、私の妹なの。ずっと子供の頃から一緒だった、大切な……ね。社会人になったら、一緒にいられることが少なくなって寂しい思いをしていたから、このあいだ久々に会って来たんだけどね」
大人になったら、いつまでも一緒にはいられない。
とある大学の合格人数の制限。
そこから私達の道は驚くほど別れて、別々の道を歩むことになった。
今では、別々の場所で働き、別々の場所で住んでいる。
けれど、ある日相方からの相談で、私たちの道は再び昔のように交わることになった。
私はにっこり笑いながら、相手を屋上のふちへと追いやった。
「ベッドの上から起き上がれないあの子も、これで浮かばれるわね」
大丈夫、平気よね?
「これくらい対した事ないだろ?」っていつもイジメてたんだから。
怖がらないでよ。
これからあなたが味わう苦しみは、どうってことないものよ。
道交わる双子の姉妹 仲仁へび(旧:離久) @howaito3032
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