神月 五頁

「う、うっす」

 白雲丸しらくもまるいぶかしいかおをしつつ、恵虹けいこうについてった。


 ささささ。


 ぎゅう。


 葉緒はおは、りゆく恵虹けいこういかけて、その背中せなかきしめた。

 おどろいた恵虹けいこうは、いた。かおなみだまみれていた。

 葉緒はおは、恵虹けいこうかお見上みあげてった。

恵虹けいこうさん、おなかいてますよね? 葉緒はお料理りょうり得意とくいなので、おひるはんはわたしがおつくりします」

葉緒はおちゃん……」

「あと……」

「?」

恵虹けいこうさん、あたまからもなみだてますけど。その前髪まえがみこうにはなにがあるんですか?」

 ついに急所きゅうしょかれ、やつはあたましろになった。

なにがあるんですか?」

 葉緒はおは、なぜかをキラキラとかがやかせながら、もう一度いちどたずねた。

秘密ひみつです」

「えぇーっ!

 いいでしょう? ここには、葉緒はお恵虹けいこうさんしかいないんですよ!」

「ダメです! なんで、そんなにたいんですか!?」

になります! ロマンてやつです!」

「なにがロマンですか! こんなのただのものでしょう?」

もまたロマンです!」

 葉緒はおのこの言葉ことばに、恵虹けいこうすこ見開みひらいた。

「もしかしたら宝石ほうせきかもしれません」

 それから、そっぽを向いて言った。

「……いいえ、葉緒はおちゃん。宝石ほうせきなどではありません。……爆弾ばくだんです」

 恵虹けいこうは、キリッと葉緒はおにらんだ。

爆弾ばくだん?」

 そして、恵虹けいこうのやつは、葉緒はおのほおを両手りょうてつぶしてった。

「いいですか? もし、わたしひたい第三者さいさんしゃさらされれば、葉緒はおちゃん諸共もろとも……このしまさえ消滅しょうめつすることになるでしょう」

 つぶらなまなこがぎょっと見開みひらいた。

「えーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!」

 葉緒はおはあっさりとしんんだ。このさけこえは、島中しまじゅうとどろいた。まったくだ……。

「や、やばいじゃないですか! みんなんじゃう!」

「そうです。だから、だれにもせてはいけないんです。これは、わたし宿命しゅくめいでもあります」

大変たいへんなんですね」

「すみませんが、このはなしりです」

「わかりました。それじゃあ、わたしは、祭壇さいだんにおいのりしますね。それがわったら、おひるにしましょう」

(良い子だ……)

了解りょうかいです。白雲丸しらくもまるも、それまでっててください」

「かしこま」

 すると、したほうから、ゴロゴロとおとこえた。

「……なんだろう、このおとかみなり?」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る