その愚者は瑠璃色に輝く

のすのすけ

可哀そうに

これは「黒」の果ての、

そのまた果ての、

隅っこの小さな小さな星の物語。


ある日

瑠璃色の虫は目覚めた。

瞼はなけれども、

目覚めたと、はっきりと、わかるように活動を開始した。


大きく身をよじる。

しかし、ほとんど動かない。

それもそのはず、

本来脚がついているであろう部分には一本の脚もなく、

身をよじろうにも可動部分が少なすぎるために動けない。

ただ、残念かな。

虫はそのことに気がついていないのか、

必死に身をよじろうとする。


可哀そうに。


おや?

少し離れたところに肉食っぽい大きな顎をもった、

そこそこの、

少なくとも、瑠璃の虫を丸のみできるような大きさの虫が現れた、

顎の虫が少しづつ近づいてくる...


あ、

食べた!

瑠璃の虫が食べられてしまった。

丸のみだった。

可哀そうに...

瑠璃の虫は志半ばで死んだのだった。

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