どんな学校でも恋したっていいですよね？

第26話 腹八分目でいいのに

お揃いのお土産を買った後は遅めのお昼ご飯を食べに来た

場所は近くのお洒落そうなカフェ

因みに事前に調べて置いた結果学生二人でも全然入れるリーズナブル価格

ありがたい

「なに頼むの～？」

「私はこのアボカドタコライスにする！」

「え、めっちゃ美味しそうじゃん」

名前だけ聞いても美味しそうだ

タコライスか、昔はたこ焼きと同じノリかと思ってたな

友達に馬鹿にされた記憶あるもん、許さん

「え～じゃあこれにしようかな」

「えーと、このモンティクリストってやつ？」

「そうそう。よくわかんないけど、説明文が美味しそうだから」

フレンチトーストでハムとチーズを挟んで上からはちみつをかけた料理らしい

聞いたことのない名前だったけどこんなの絶対美味しいに決まっている

店員さんを呼んでそれぞれの頼みたいものを注文した

「いや～楽しみだな」

「うん、私こういうの初めてかも」

「初めて？カフェとかに来るのが？」

「ううん、家族以外の人とご飯に来るのが初めて」

あ、そうなんだ

てっきり外食とか割としてると思ってた

結構社交性というかなんというか高そうだし

「私ね、あんまり他の女の子と趣味が合わないんだよね」

「そうなの？何でなのさ」

「う～ん、何でって言われても難しいなぁ～」

まあ確かにそりゃそうか

自分の趣味は大体人によって違うもんだし

それが合ってる人同士で打ち解け合ったりするもんだからな

「世の中の女の子たちって短い動画の方が好きだと思うんだけど、私は長い方が好き。世の中の女の子たちってプリクラ好きだと思うんだけど、私は一眼レフと編集ソフトの方が好き。世の中の女の子たちって外食好きだと思うんだけど、私は自炊の方が好き。他にもいっぱいあるけど、私って趣味が合わないんだ」

「ダイオウグソクムシとか？」

「うん、まああれはアザラシとダイオウグソクムシ同じ可愛さだから良いけど」

あ、同じ可愛さなんだ

なんていうか面白いな

確かに俺の抱いている勝手な一般的女子とは違っている

「だからさ、私ってそんなに友達が多い方じゃなくて。だから文化祭の時も一人だったでしょ？」

「あ～あの時」

確かに、俺と紬（つむぎ）さんは朝一番から後夜祭までちょこちょこ遭遇したけど1人だったな

うわ、俺あの時誘ってあげてればよかったな

気が利かない男ですいません・・・

「あの時一緒に回れなくてごめんね」

「いやいや、全然大丈夫だよ！それに今日は一緒に遊んでるし！」

「良い子すぎる・・・」

「ふふふ、もっと褒めてくれてもいいんだよ？」

「よっ！知識豊富！運動神経抜群！可愛い！」

「ちょっとちょっと！冗談だって！」

紬（つむぎ）さんは焦って俺を制止する

丁度そこに店員さんが料理を持ってやってきた

それぞれの前に美味しそうな料理が運ばれてきた

「ほえ～美味しそう」

「ほんとだ！フレンチトースト私も食べたくなってきちゃった！」

「あ、コレ手つけてないし一口要る？」

よし！気が利く男ポイントゲットだぜ！

これで文化祭の愚かな失態を見過ごしてくれ

「いいの？ありがと！それじゃあ私のもあげる～！」

「え、いやそんな」

「あれ？タコライス苦手？それともアボカド？」

「ううん、そういうわけでは・・・」

「じゃああげる！」

こうして無事、俺は気が利く男ではなくなった

ま、まぁまた今度頑張るよ。うん

きっといくらでも挽回できるはずだ

「はいあげる」

「あ、俺からもどうぞ」

「それじゃ食べよっか」

「そうだな！いただきます」

まずは俺が頼んだモンティクリストを一口

「美味しいぃぃ！」

「美味しいね～！」

表面はすこしカリッとしているが、中はふわふわというより

とろとろに近い食感のフレンチトーストだ

炙ってあるチーズとベーコンが贅沢に入っている

「俺毎日これでいいや」

「えぇ！？そんなに？」

「まぁまぁ、まだタコライス食べてませんから」

「ほら！食べて食べて？」

実はタコライスを食（しょく）すのは初めてだ

タコライスをありのままに伝えるとすると、

アツアツのご飯の上に牛そぼろ肉を大胆に乗せ、その他のレタスやトマトやアボカドをぶつ切りで混ぜ込んだあとに細かいチーズと卵黄をかけた奴だ

細かい作り方は違うかもしれないけど

まあ俺にはどうしたって作れないし、そこはどうでもいいんだ

問題は今この瞬間！美味しいかどうか！

「ぱく」

「私『ぱく』って擬音をほんとに言いながら食べてる人初めて見た」

「んんーーーー！！！美味しい！」

「ほんとに？私も食べてみよ・・・うん、美味しい！」

牛そぼろが意外とジューシーでボソボソしていない、野菜系もその牛そぼろの過剰なジューシーさを調和し、チーズと卵黄がそれ等の味をうまくまとめている

美味い！！！生きててよかった！！！

「うまうま」

「これで結構安いの凄いよね」

そうだな、普通のカフェとかよりは断然コスパは良い

店内もシックな雰囲気に包まれていて、それでも学生が払える様な金額は素直に凄い

こんなところで食べているとちょっと悪い事をしている気分にもなる

おいしくて二人ともぺろりと平らげる

多分今腹八分目くらいだろうか

もう少し食べたいような気もする

「どうする？デザートも食べる？」

「うん！食べよ～！」

意気揚々とデザートを頼む二人

しかし、店を出る頃には啓介（けいすけ）だけ腹を壊していた