生き苦しいやつが魔法少女になってどうする?
うおき
第1話 はじまりのあいず
カーテンの隙間から少し光が漏れ出ている。鳥たちのさえずりがかすかに聞こえた。
「なんで私は生きているんだ…ごめん…ごめんなさい…」
私は早瀬麻奈。ちょっと前にとある精神病と診断された高校一年生の女の子。今日も変わりなく、ただただ浪費されていく時間で罪悪感と自責感に苛まれていた。
学校は最初の頃はかろうじて行けていたが、クラスのみんなや環境に慣れず不登校になってしまった。
もちろん友達なんて存在は、私なんかよりも優しくて面白い人たちの方に行ってしまった。
両親にも心配をかけてばかりで、こんな私をどんなふうに思っているのか気が気じゃない。頑張って産んだ娘が、こんなふうになってしまったらなんで思うのだろうか。
起き上がりたくても簡単に起き上がれない。吐き気とめまいに襲われる毎日。頭もぼーっとして何も考えられず、簡単に外にでることすらできない。
「迷惑かけてるのはわかってる、わかってるけど、私だって…、私だってつらいんだよ…!」
精神病にかかってつらいのは、みんなに自分の苦しみがわかってもらえないことだ。一見すれば何もないし、体調も悪くはないので元気そうに見える。
ただ中身は希死念慮や自責感、将来の不安、ストレスなどでいっぱいいっぱいになっているのだ。
わかってもらえない苦しさ、明かすことができない今の悩み。
それがずっと続いてしまうと、私の今のような状態になってしまう。
今は心療内科とカウンセリングを週一で通っていて、薬ももらっているがましになっている実感がない。
「死にたい…死んだらもう楽になる…だけどお母さんが無理して産んだくれたのに…私は、私はなんて親不孝なんだ…」
勝手に涙が目からぼろぼろとこぼれ落ちる。
「もう、どうすればいいのよ…!!」
頭がぐちゃぐちゃになりかけた時、ふと後ろで声が聞こえた。
「開けてプルーー!!!」
…ついに私は幻聴まで聴こえるような体になってしまったらしい。私を殺しにきたのか?
「ごめんなさい謝るから…!!まだ殺さないで…!!まだ遺書も書いてな…」
「殺さないプルから!!…もうとにかくここを開けてプルーー!!」
私に返事をした…?これは私の幻聴ではないのだろうか。幻聴って受け答えができるのか?
なんだかもやもやした私は実際に確認することにした。高鳴る心臓を抑えながら、震える手でカーテンをつかむ。
(これで何もいなかったら、私はやばい)
大きい不安を抱えながら、掴んだ布をゆっくり開いた。太陽の眩しすぎる日差しが私に注ぎ込んでくる。
「うっ…!まぶし…!」
目の前が真っ白になる中、光をかきわけた先に、『あれ』はいた。
「やっと姿を見せたプルか!!さあ、早く窓を開けるプル!!」
「…へ?」
そこに佇んでいたのは、水色のぷるぷるした謎の生命体だった。昔よく見た、魔法少女もののアニメでありそうなやつだ。
「何をもたもたしてるプルか!!さっさと開けるプル!」
私は本当に現実かどうか疑った。何度も目をこすってこすって、何度も自分のかおをたたいたが、いた。
「何やってるプル…?かわいい顔が台無しプルよ?」
「う、うるさい…!!てっ、ていうか…あ、あんた誰…?」
「僕はぷるもち星からやってきた、とるぷん!君に世界を救ってほしくて、ここにきたプル!」
「…?」
「そうなるのは予想内だったプルよ…。とにかく説明したいから、ここを開けてプルよー!!」
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