会話未満の関係

「あ、おかえり姉ちゃん。

 日本全国のSランクダンジョンの制覇おめでとう。僕はこれからダンジョンに行ってくるよ。あっそうそう、もう高校辞めたから。」

 

 そう一方的に言って弟はダンジョンに行った。

 

 見た目こそ酷かったが元気そうで良かった。なんて、そんな馬鹿な事を考えながら休んだ。

 

 そして次の日私達のパーティは大勢の声援を浴びながらSSランクダンジョンに入った。大変気分が良かった。

 

 SSランクダンジョンの中は道中のモンスターは最低でもAランクのボスモンスターで強い奴だとSランクのボスモンスターが私たちに襲いかかって来た。それを私達は難なく屠る。そして奥まで辿り着きSSランクのボスモンスターと戦う。

 

 その結果は圧勝だった。私達が四方から一斉に攻撃を仕掛けただけでボスを殺せた。ボス討伐の報酬を貰いギルドへと報告へ行く。そして私達が帰って来た事でこれまで攻略されなかったダンジョンが攻略された事が瞬く間に広まった。私達はこの事を誇りに思いながら打ち上げをする為にパーティメンバー全員で私の家に向かった。

 

「…ああ、おかえり姉ちゃん。その酒の量…打ち上げするのね。あー、まぁ邪魔者はダンジョンにでも行ってくるから。行ってきます。」

 

 そう言って弟がまた出ていく。私は一瞬だけ心配になったがすぐにそんな事を忘れてパーティメンバーと雑談配信をしながら朝まで飲み明かした。

 

 その間、弟は一度も帰って来なかった。

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