とある元英雄の罪
笑顔の傘
とある英雄
私の名前は時雨圭役(しぐれ けいやく)。Sランク冒険者で『英雄』と呼ばれていた。それぐらい私は強い。いや、強かった。
そんな私には弟がいた。その弟と最初は「姉弟一緒に有名になろう」と言う目標を掲げて姉弟二人で喧嘩もなく仲良くパーティを組んでいた。まだ私達が冒険者駆け出しだった頃で『英雄』じゃなくて弱かった時だ。少しでも多く収入を得ようとダンジョン配信もしていた。
その頃はまだ無名冒険者パーティとして活動していた。だがSランクダンジョンからドラゴンが外に出て来た事件があった。その事件がきっかけで私は覚醒して『英雄』と言われる今の強さを手に入れた。
そして私が『英雄』としてSランクになった事で私達のパーティは一気に有名になった。
ここから私は狂った。私は有名と言うのを味わい、それを味わい続けたいが為にまだ冒険者駆け出しのままの強さの弟を無理やりSランクダンジョンに連れて行っていた。
弟は戦闘ごとにいつも死にかけていた。当たり前だった、だって弟は私と違いまだ覚醒していなかった。それに私が覚醒する前は姉弟揃ってGランクダンジョンでボロボロになっていた。今考えてみたら弟はこんな私のためによくついて来てくれたと思う。
そして私は一向に強くならない弟を邪険に扱い始めた。その時からかな、弟が『英雄の寄生虫』と酷いあだ名で呼ばれ始めたのは。それを姉である私は否定して弟を守らなきゃいけなかったのに、肝心の弟が否定しなかったから私も否定しなかった。むしろ私も弟を見下していた。いつの間にか私は傲慢になっていた。
そしてその酷いあだ名が冒険者界隈全体に広まった頃に私は勝手に強いパーティメンバーを募集して集まったその日のうちに弟を追放した。弟とパーティを組んだ時に掲げていた「姉弟一緒に有名になる」と言う目標も最低な形で叶えて。
…これが私の罪の始まり。今でも後悔してる、なんであんな事したんだろうって。因果応報を身をもって知った。
「ねぇ、あなた暇なら聞いて行ってよ。傲慢な私の犯した愚かな罪を。」
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