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 ルシフェルが消えるとアルバニアとペペの見ていた映像も呼応するように画面ごと消えた。

 その後、アルバニアはペペの方へ向くと姿勢を変え片膝を着いた。


「私とルシフェルは、ペペ様に決して揺らぐ事のない忠誠を誓います。今は言葉だけですが、どうか私達に一度チャンスをお恵み下さい。必ずやあなた様のご期待に応えて見せます。――どうか私達をペペ様の僕として共に戦わせてくれないでしょうか?」


 これ程までに自分へ尽くしたいと願う二人の姿に、ペペの心は多少なりとも自信を取り戻していた。というよりそんな二人の気持ちに応えようとペペは今一度、魔王としての気持ちを引き締めたのだ。


「――分かった。じゃあこれから一緒にこの星を征服しよう。これからよろしく」


 そう言いながらペペは手を差し出した。魔王としてではなく、ヌバラディール・ペペとして。

 そして掌が空を仰ぐその手へ、アルバニアは手を乗せると深々と頭を下げた。


「この命をあなた様にお捧げ致します。我が魔王、ヌバラディール・ペペ様」



 〇〇〇


 アルバニアとルシフェルの忠誠をぺぺが受け取った日の夜。端から端までが長テーブルの一人席に座ったペペの元へサービスワゴンを押したアルバニアが姿を現した。


「これからお食事はルシフェルがペペ様の身の回りは私、アルバニアが務めさせて頂きます」


 一度深く頭を下げたアルバニアはワゴンから夕食を出すとペペの前へと並べた。立ち昇る湯気に乗ったその匂いは食欲を刺激するもので、透かさずペペの腹の虫が反応する。

 そんな虫に急かされるように早速一口。口に入れた瞬間、全身が歓喜するのが分かるその味は三つ星シェフも唸るレベル。思わずペペの口角も上がった。それは宛ら約束された美味の食。


「ん~。美味しい」


 唸らずにはいられないペペはそのまま二口、三口と止まらぬ手で食べ進めてゆく。

 すると少し食べたところで彼はナイフとフォークを置いた。そして前で手を組みながら後ろに立つアルバニアの方を振り向く。


「君達は食べないの?」

「私達は後程取らせて頂きますのでご心配なさらず。お気遣い感謝いたします」


 アルバニアは笑みを浮かべながらそう言うと軽く頭を下げた。


「何で? 一緒に食べようよ」

「滅相もございません! ご一緒など恐れ多い」


 想像すらしていなかったのか、慌てながら同時に両手を振るアルバニア。


「いいじゃん。みんなで食べた方が美味しいし」

「ですが……。――いえ、ペペ様がそう望まれるのでしたら。大至急ルシフェルを呼んでまいります」


 そして会釈をしたアルバニアはワゴンを押しルシフェルを呼びに行った。ほんの少しだけ待った後、ルシフェルと共に戻ってきたアルバニアは押していたワゴンから迅速に二人分の料理を取り出しペペの左右に並べる。

 そして料理の並んだ席の傍に立ったルシフェルとアルバニアは深く頭を下げた。


「では失礼させていただきます」

「失礼します」

「どうぞ」


 返事を貰うと二人は同時に迅速かつ静かに腰を下ろした。

 そして三人揃ったところで再び夕食は再開。暫く食べ続け料理が半分程減った頃、ペペはナイフとフォークを置いて一度グラスへ手を伸ばし口中をリセットするように一口。

 グラスを置いた後に二人へ一回ずつ目をやった。


「これからのことなんだけど……」


 ぺぺが話を始めるとアルバニアとルシフェルは素早くナイフとフォークを置き聞く姿勢を取った。


「まず勢力を増やそうと思ってるんだけど、その為に勇者側についていない国とかを仲間にしようと思うんだよね。それで力のある人間には魔力を与えて魔族に近い存在にして消えた分の戦力を補うっていうのはどうかな? まぁこれは僕の案じゃないんだけど」

「私達はペペ様のご意向に従うのみですので、ご命令をして頂ければ国の一つや二つ献上させて頂きます」


 何も言わなかったがルシフェルもアルバニアと同意見だということはペペを見る目を見れば一目瞭然だった。


「それじゃあまずは近くの小さな村とかで試してみようか。人間に魔力を与えた事なんてないから練習として。これって普通に魔力を注入するだけでいいんだよね? 確か」

「はい。体内に直接注入することで人間に魔力を宿すことが可能です。ですがその者がただの魔物レベルの下級になるのか魔族レベルの上級になるのかはその者の強さ次第となります」

「なるほど。人は選ばないといけないってことか。でもとりあえず明日試してみて感覚を掴んでみるよ」

「では決行は明日ということでよろしいですか?」

「うん。いいよ」

「畏まりました。では明日までに準備を整えておきます」

「よろしく」


 それからデザートまでしっかり堪能したペペは適当に時間を過ごして眠りに就き、明日を迎えた。

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