第2話 サイコパス男と頭のいかれた女
ひとみと交際している男についても、いい噂は流れていなかった。
谷彦はナンパ癖があるのか、いろいろな女に手を出す。ほとんどは交際中の女で、他人の幸せをぶち壊すためにやっているかのようだった。クラスメイトの中では、サイコパスではないかと噂されている。
当初は騙されるケースもよく見られたけど、最近ではほとんどなくなっていた。谷彦が接近しようとするだけで、距離を取るようになった。彼に心を許すのは、頭のねじの外れた女くらい。学校内において、まともな女と付き合うのは不可能である。
谷彦は堂々とした態度で、ひとみのお尻に触れる。
「ひとみ、とってもいい体をしているんだな」
「谷彦君。ありがとう」
「女に生まれていたら、おまえのようにかわいくなってみたい」
谷彦は交際していたすべての女に、同じセリフをいっていた。彼の中においては、決め台詞さながらとなっている。聞いている側としては、かっこいいという印象は受けない。
「最高の誉め言葉だね。私はとっても嬉しいよ」
「ひとみ以上の女は、社会に存在しないよ」
ひとみは気分がよくなったのか、
「好きな部分にどんどん触っていいよ」
といっていた。単純思考の脳は、お世辞なのかを分別する力もないらしい。
「そうしたいところだけど、俺はとっても忙しいんだ。これでおさらばするよ」
ひとみは甘い声を発する。浮気現場を目撃したからか、気持ち悪さだけを感じることとなった。
「明日も一緒にいようね」
「ああ、約束する」
谷彦はよほど慌てているのか、全速力でダッシュしていた。ひとみはすごいスピードで走る男に、柔らかい視線を送っていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます