第65話 他の転生者ばなし 山吹 煉十郎の場合


儂、山吹やぶき 煉十郎れんじゅうろうはマタギをしていた、マタギとはようは猟師の事だ、大型の獲物を狙うことがメインのな。


古いしきたりとか風習がいまだに強く残っている。

だが昔と違って食料のためとか毛皮のためとかはかなり減って害獣駆除としての意味が多くなってきた。


山の幸と言われなくなってかなりの時間が経った。

生き物との向き合い方も変わってきているのかもしれない。


それでも儂がすることは変わらない、時に罠を張り、時に猟銃やボーガンで獲物を射つだけだ。

野草や山菜を採ることもある、儂には相棒がいる、三頭の猟犬達だ。


赤黒い甲斐犬の雌のホムラ、今は年を取りすぎたから引退させた猟犬の子だ三頭の中のリーダでもある、冷静でありながら時には凄く獰猛にもなれる頼れる猛者だ。


グレートデーンの雄のベン、元々かなりの大型犬だがその中でもベンは一回りほど大きかったそのせいでもとの飼い主が扱いに困り儂のところにまわってきた、儂としては大いに助かってるが犬としてはたまったもんでないだろう。


だが儂のところに来てからは広々とした山の中を走り回ったり時には獲物を真っ正面から倒したりと暴れまくっている、ここの地が合っているのだろう。


暴れるといったが、儂やホムラの言うことにはちゃんとしたがうし意外と空気も読める、人が来ても吠えないしな。


最後にジャーマンシェパードの雄のジョン、知り合いの猟師から産まれてすぐに分けてもらった、この犬種は非常に狩りに向いているし頭もかなりよい。


プライドが高いと言われる犬種だが私の言うこともだが、母親代わりに育てられてきたホムラにも一切の反抗もしない。


ベンとはたまにぶつかったりしてるみたいだが、この三頭が今の儂の相棒になる、熊とかの超大型の動物は儂がメインになるが、それ以外なら三頭に任せておいたら間違いない、ベンなら真っ正面からでもイノシシを止め仕留めることができるし、ジョンは頭を使い足を狙ったり、罠のところまで誘導して仕留めることもある、ホムラはそのどちらもできる中型犬と大型犬の間ぐらいの大きさだがかなりのパワーがあるからだ。


この三頭が揃ってからは狩りがかなりスムーズに進むので今では他の山からも依頼が来る、その日も依頼があってその地に車で向かっているところだった、荷台に乗っている犬達がなにか吠えたと思ったらすでに死んでいたのだ。


儂と三頭は神の前でおとなしく話を聞いている、儂だけでなく三頭も何か神から発せられる気配におとなしくした方がいいと感じてるのだろう。


神の話はこうだ、かなり偉い神がミスったせいで儂や犬達と他にもかなりの動物や人が亡くなった事、その詫びとして別の世界で生き返れる事、向こうで役に立つような力を貰えるから事、それは犬達にもだ儂はマタギ向こうではハンター、冒険者と呼ばれるものになるつもりなのでそれに役に立ちそうな力を貰った、犬達もそれぞれ好きな能力を貰っていた、そして神は普通に犬と話できてた。


儂も向こうに行ってからは皆と話すことが出来たのだがそれはおいとく。


こうして色々有ったが別の世界で生きていくことになった、一人だと色々苦労するかもだが頼りになる相棒がいるからなにも心配していない、やれるだけやっていくつもりだ、体も若返ったことだし、犬達も寿命とか延びたみたいなのも嬉しいしな。


今はまだ見ぬ獲物や冒険にワクワクしている。

さぁー行くとするかな。

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