第36話 他の転生者ばなし 大道院 霊泉の場合


日本には古武術を極めたものがいた。


現代に必要ないほどの武を持つ者の名は大道院だいどういん 霊泉れいせん、戦国時代に生きていれば、天下一の剣豪にもなれたと言われる漢だ。


そして特に居合いや抜刀術は神がかっていた、棒術、弓術、柔術、打撃を含む体術、捕手術、暗器、手裏剣、槍術、鎖鎌も全て達人級というずば抜けた力を持っていた。


実戦も海外の戦場や犯罪者達を処分したりするのでばりばりに経験している。

熊や虎などの野獣の討伐なども数えきれないほどしていた。


皆は思っていた、そこまでの力を手に入れても役にたたないのではと、確かに現代日本ではこれらの力は暴力と言われ、煙たがられる。


しかし霊泉はそんなことなど気にしない、強さが伴わなければ何も守れない事を知っているから。


だが、全力で闘えなくなってきていることには悩み始めていた。


自分で興した日本古武術協会だがすでに会長職も息子に譲り、教えることも弟子達に任せ、己の強さを磨くためだけに余生を費やしてきたが、戦う相手がいなければ意味等ほとんどない。


息子や弟子の師範達でも相手にならず、まだ相手になるであろう者も居たにはいた、交友のある横綱灘龍王などは身体だけなら自分よりも上だと認めていたが!武器を使えばさすがに負けないと。


他にも数名いたが死闘を演じられるのは灘龍王なだりゅうおうだけだと彼は思っていた。

弟子の1人に期待している者もいたが自分の領域までこれないと。


そう考えていた時にその弟子が海外より帰国すると連絡があったのだ。


その弟子は海外で傭兵を生業としていた、人生の最後にもう一暴れするのも面白いと。


そう思い会うことになった、最初に開いた小さな道場に彼を呼び、そこで稽古をつけていた、やはりそれなりには相手になるがそこまでだと、そして稽古を止めようと思ったその時に道場の外から異様な気配を感じたがそれが今世の終わりだった。


私は神と名乗る者と出会い話した。


要約するとその神の失敗により多数の者が亡くなり、別の世界で生き返れると、何も悩むことなどない違う世界でもう一度生きられる、闘えられる、鍛えられるそう思ったらいてもたってもいられなかった。


体を若返らせてもらったり、色々戦い使える力などを貰い受けた。


今更、努力してないで身に付ける力などと思わなくもなかったが、力は簡単に身に付かず向こうでも訓練や実戦で初めて己のものになるという、ならいいかと思い受け取った。


弟子もあちらにいるらしいから、一から鍛え直しても面白い。

そして神に礼を言いあちらの世界に飛んだ。


今なら不思議に思うがなぜあの時は神に戦いを申し出なかったのだろうか。


体が魂が駄目だと教えてくれたのかもしれない。


まだこの時はこの新しい世界で運命とも言える出会いをすることなど知るよしもなかった。



あの者、相当の者だったな。

すでに人の領域を越えていた、あの魔力も何もない世界で育ったものがだ。


向こうでどれ程のものになるか楽しみでもある。

そして恐ろしくもあった。


(創造神)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る