何をしていいのかわからないから、何でも出来る異世界転生(転移)

第31話 宿屋でこれからの事考える

「このパスタ大盛りで！」

騒がしい店の中でも俺の声はよく通ったようで、周りの客が一斉にこちらを見た。

「ふふ、パスタ大盛りね、すぐに持ってくるから待ってて」

店のお姉さんに少し笑われながらも注文は無事終わった、終わったのだから何も言うな。

少し待っていたら先程のお姉さんが木の大皿に山のように盛られたパスタを持ってきてくれた。

「いただきます」

小さな声でそう言い、早速フォークで掬い慌てるように口へと運んだ、ズルズルと音がするくらいの勢いで食べ進めていった。

ある程度食べたら少し落ち着いた、味の感想だが塩味と少し香草が入ってるみたいで悪くはない、悪くは、肉も歯応えがあって旨い、野菜も新鮮そうで甘みがありさっぱりしてる、しかしだ！

麺がダメだ！太さもバラバラで固いところや柔らかいところがあり、あと全体的に粉っぽく粗い、小麦の風味もしないし、色も茶色味がかってるし、ブツブツと切れると良いところが見つからない。

これ程不味い麺は食べたことがない。

いかに地球むこうが優れていたかわかる。

特に日本は食に関しては世界でも随一だからね。

まさかこんなことになるとは、私が一番好きな麺がこの様とは、う～んこんなことなら創造神様に何か麺作りのスキルでも貰っておけばよかった。

残念だ、まさかこんのところでつまずくとは異世界生活に暗雲がかかる。

仕方なしに残りのパスタも片づける、お金を払って店を出る。

元気をなくした俺を見て、店にいた人達はどうしたのかという顔をしていたがそんな事には気づく余裕も気力もなくトボトボと宿屋に向かうだけであった。

何事もなくギルド裏の宿に着く。

「お帰りなさい」

出た時と同じく受け付けにはリサさんが立っていた。

「はぁ～ぃ」

「あれどうしました、元気無いようですが」

気の無い返事をした俺を心配な様子で聞いてくる、隠す必要もないので、先程あったことを話してみた。

自分がいた里にあった麺はもっと美味しかったとも加えて。

「あのお店は美味しい方ですよ、そしてパスタはそんなもんですよ。同じ小麦粉を使ったパンよりはよほど柔らかいですよ、ヴォードさんはよほどいいお家の出なのですか」

「いえいえ、普通の家の生まれですよ。いたって普通。」

「それにしては口が肥えてるのですね。あそこのお店はこの辺りでは美味しい方ですよ。お肉はうちから仕入れてくれてるから新鮮で比較的安いからたくさん入れてくれてるし香草等も依頼してくれてるお得意様ですから味も風味もしっかりしてる、まぁーパスタはそういうものですよ。もっとも上級階級の方々が食べるようなパスタはもっと美味しいらしいですが」

そうか、まだ諦めることは無かった、高い金を出せばパスタはもちろん色々美味しいものがあるはず、ならばやることは1つ金を稼いでそういう店に行けるようになるしかない。

そして機会あれば麺を作ることにしよう、幸いなことにまだ麺を食べてないことでの禁断症状は出てないしね。

「ありがとうとございます、頑張ってもっと上の物を食べれるようになります」

「ウフフフフ、頑張ってくださいね」

そうして、預けていた鍵を受け取り部屋へと戻って行った。