運命の出会い、見つけました。

@umashiki

第1話 出会い

新学期が始まり、クラスに新たな生徒が現れるというのは、高校教師の高橋直人たかはしなおとにとってはいつものことだ。しかし、その日、職員室の扉が開いた瞬間、心に響く何かを感じた。入り口に立っているのは転校生、石川悠斗いしかわゆうと。栗色の髪と色素の薄い少し緑がかった瞳は、まるで光を放っているように見えた。彼の姿に心引かれ、つい彼を見上げるようにじっと見つめてしまった。


「よろしくお願いします、高橋先生。石川悠斗です。」


悠斗の明るい声で直人は自分でも不思議だけど、何かが始まった感覚がした。悠斗が転校してきて1ヶ月経つ頃、悠斗は明るく気さくな性格と人目を引く見た目もあり、クラスメイトたちとすぐに打ち解けていった。


ある日の放課後、授業内容でわからないところがあると言って、個別指導を求めてきた。


「高橋先生、わからないところがあって、教えてほしいんだけど、いいですか」


転入試験で成績は悪くなかったし、授業でも大丈夫なように思えた。勉強熱心なのは感心するので、もちろん引き受けた。


「もちろん。どうぞ」


その日から、悠斗は直人のところに通っていると言ってもいいほど、授業以外でも準備室で時間を共に過ごすようになった。直人は少しずつ悠斗との距離が縮まり、特別なものへと変わっていく感覚がしていた。


今日も悠斗が分からないところがあると言うから、直人は準備室で悠斗に教えていた。


「石川、どんどん解くのが早くなってきたな。」


悠斗は顔をぱっと明るくし、嬉しそうに微笑んで私の手を取った。


「嬉しい!高橋先生のおかげです」


急に手を握られ、びっくりした。身体をびくっとさせ、身体が傾き椅子から落ちそうになった瞬間、悠斗が直人を抱き寄せた。


直人は自分よりも大きな身体に包まれるように抱き寄せられ、ドキドキしてしまう。自分でも分かるぐらいにどんどん顔が赤面していく。


悠斗は少しずつ直人から離しながら、ほっとした声で直人に呼びかけた。


「よかった。驚かせてごめんなさい。・・・高橋先生、大丈夫?」


直人は自分の赤面した顔を意識させないよう、慌てて悠斗からの呼びかけに応えた。


「ああ、大丈夫。今日はこのぐらいで終わりにしようか。気をつけて帰るんだぞ」

「う、うん。じゃあ、また明日」


悠斗が準備室から出てからも直人は身体が火照るのを感じていた。そして、自分は悠斗を特別な意味で意識していることに気付いてしまった。

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