とうめい×とらんす=人生ハードモード☆

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第1話〰雨も不運も、空から降る〰

俺は東城渚、都内の病院で看護師をしている。

内科病棟でヒイヒイ言いながら、日々の業務に追われている至って普通の男性。

大体は朝7時に病棟に来て今日の受け持ち患者さんの情報収集を始め、16時に準夜看護師に申し送って20時まで残業、そしてすぐ0時から9時半まで夜勤をするという平凡で充実した日々を送っている。



やりがいはあるものの、とてもじゃないが体が持たない。事実、体調不良で有給も使い切ってしまい、欠勤の日もチラホラ。

「あんた若い男なんだから、体調管理ぐらいしっかりしなさいよ」「急に休むと困るのよね」と御局ナース様に都度ありがたいお声がけも頂き賜っている。白衣の天使が、今はもう白い悪魔(シモ・ヘイヘ)にしか見えない。「24でもキツいものはキツいんです。あんたが若かった時、体調管理常に完璧だったのかよ」と何度も口から出そうになったが、おそらく口走っていたら首が吹っ飛んでいただろう。



夜勤明けで病院からすぐのボロアパートに帰り、風呂に入った後はベッドで泥のように眠る、そんな日々を過ごしてもう2年半。趣味にしていたレトロゲームのブログ更新も、肝心のゲームの時間が取れず停滞。ゲーム配信をしようと機材も全て揃えたが、時間が取れない。



大学生までは部活やサークル、バンドを組んだりなんかもしてあんなに楽しかったのに、社会人になった途端にガラッと環境が変わり、友達とも予定が合わずに疎遠になり、今までの楽しかった「俺」が消え去ってしまった。



床につく度に、こう思う回数が増えていった。

「このまま全部放り投げて死にたい…消えたい…」



そう思い、目覚めたらもう翌日の朝5時頃。日によってはその日の15時半から準夜勤へ…

こんな繰り返し、ほんと地獄のような日々だと思う。…いや、思っていた。

これよりもっと地獄な日々は、これから先に待ち構えていたんだ。



それは、夜勤明けのいつもの気絶から目覚めた、雨の日10月5日の朝5時に始まった…。





つづく

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