地の文が書きにくいのは〇〇が足りないから?
誰かが言った。
「会話と会話の間に挟まる地の文を書くの、難しくね?」と。
別の誰かが言った。
「『これで決まり! 会話と会話の間に挟まる地の文500選』みたいな本が欲しい」と。
他の誰かが言った。
「なら沢山本読んで、好きな表現見つけた傍から真似していけばいいよ」と。
商才ある誰かが言った。
「忙しい現代人が本を読む時間なんてないだろう。それなら人物の動作をまとめた辞書を作って売ればいい。なぜなら、キャラクターたちは会話の間に首を傾げたり、眉を顰めたりしがちだからだ」
そして、まんまと乗せられた者がいた。彼女は面倒くさがりで、それでいてアホの子だった。彼女の名前を唯野木めい、つまり私だ。
「えーっ!! すごい! 頭から爪先まで、なんかいい感じに使いやすそうな表現がいっぱい載ってる辞書がある! しかも用例とされているのは全部文豪たちの作品から取ってきたものだと!? なら間違いないよね。困ったらこれからパクればいいんだ!」
そして彼女は意気揚々と「人物表現辞典」をレジに持っていき――現在、その本は課題プリントの中に埋もれている。
*
こんにちは。ただのぎです。突然ですが、あなたに一つ質問を。
会話と会話の間に挟まる地の文って難しくないですか?
ずっと「」が続くと気持ち悪い。ここはカクヨム、小説投稿サイトだ。演劇の脚本やpixivや占いツクールのSS《ショートショート》なんじゃないだから、会話文の間に何か一文入れたくなる。だけど、気がついたら「曖昧に笑い」「口角を上げ」「にこりと目を細め」「照れ笑いを浮かべ」「徐々に笑みを広げ」……って、全部「笑い」やないかいっ。君たち、他愛無い会話ににこにこしすぎじゃない? そんなにおしゃべりが楽しいか? 一周回って気持ち悪いわ。
というわけで、冒頭にも述べた通り「人物表現辞典」たるものを買ってみて、ちょっと使いました。実際便利です。でも、ド底辺物書きの私が書いた文に突然偉大なる文豪たちの表現が混ざる訳ですから、はっきり言って浮きました。どのくらい浮くかと言うと、冬にアロハシャツ来て駅前でマラカス振りながら踊り狂うくらい。私より文才がある方が使えば別なんでしょうけど。
けれども、辞書を使わないと登場人物がなんか知らないけどずっと笑っている奇病を患ったままです。どうやって治療しましょう。
ところで、私はとある劇団に所属しています。なので、ある日気まぐれで昔書いた小説を無理矢理脚本に起こし、一番好きだったキャラを演じてみました。すると気づく。「あれ……小説では『笑った』としか書いてないけど、これ本当は得意気なのでは? 得意気な仕草、得意気な仕草……あ、鼻の下を擦るとかかな。うん、彼ならやってそう!」と。彼と言うキャラクターへの解釈が一致した瞬間でした。
つまり、私は地の文(キャラクターの動作を表す文)が書きにくいのはキャラの解釈が足りないからだと思います。自分のキャラは自分が一番よくわかってる、と思っていても、思った以上に彼/彼女のことを知らなかったです。いつもうちの子の萌え語りに付き合ってくれるAちゃんの方が、よっぽどうちの子たちに対する解釈が行き届いている。うちの子への解釈が一致すればするほど、より地の文も書きやすくなるんじゃないかなあ……。知らんけど。
皆さん、地の文のコツって何かありますか? 個人的に風景描写とか苦手だからそこら辺のことも知りたいです。
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