田舎で農業でも

ひぐらし なく

現状様々

初めに

 ある人生の失敗から、国家公務員をやめることになったのは、もう20年以上昔になります。

 退職金も貯金も何もなしというどん底に落ち、自己破産してハローワークに通いました。

 運よく、手当をもらいながらの職業訓練に1年かよい機械加工の腕を手に入れました。

 小さな町の小さな鉄工所に就職して、子供二人を大学に入れ、卒業させたところで、田舎に引っ越すことになりました。


 姉夫婦から繁忙期に花の出荷を手伝ってくれないかという話が奥さんに来ました。そこで、もう子供たちも手を離れたからということもあって、後先考えずに田舎に移住しました。


 私自身は都市でしか暮らしたことがなく、農業も田舎も全く知らない、という人間なのですが、まあ何とかなるだろうという元来の能天気さで、行動を起こしました。

 まあそれもいいんじゃないと言った奥さんも、なかなかのものだとは思います。


 塾の先生ぐらいならできるし、機械加工の会社ぐらいあるだろうという、お気楽な考えだったのです。


 実際、田舎のハローワークにはそのような仕事もあったのですが、どういう訳かそっちではなく農業という全く未知の仕事を選びました。

 市の事業で、お金をもらって農業の研修ができるというものがあることを知ったのです。

 面白そうかも、ということで飛びつきました。


 月額15万を支給されて1年間の研修、おいしい話だと思いました。

 そもそも、農業なんて私は全く興味がなかったのですが、何とかなるだろうということで農家への第一歩を踏み出しました。


 研修を終えて、当初予定していた花農家ではなく、野菜農家の道を選ぶことにしました。

 花農家は設備投資が大きいこともあって、40歳を過ぎてからでは採算が取れるかという不安があったのです。


 花も野菜も、植物を育て収穫するという点では一緒ですが、そこからはまあいろいろありました。


 生活は、はっきり言って大変でした。テレビで見る田舎で楽園生活、なんてわけにはいかなかったのです


 何回もやめてやろうかということもありましたが、一度自営業というサラリーマンから見ればやくざな商売に足を踏み入れてしまうと、もう無理。

 ネクタイを締めて、いわゆる9時5時の世界には、戻れない戻りたくないとなってしまいました。


 それでもいつの間にか15年がたち、生活は楽というほどではないにしろ、一応成り立っています。


 最近余裕が出て、昔からやっていた駄文を発表し、電子書籍を発行するようになったこともあって、田舎生活を書いてみようかと思い至りました。


 誰かの何かの役に立てばいいかなと思っています。



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