契約栽培

 うちは、直売や農協のほかに契約栽培もしています。

 出だしは、夏のオクラ。

 どことは言いませんが、都内の有名デパートにも店舗を持っていた会社です。

 ちなみにこの東京の店舗、今は別の法人になっているようです。


 新規就農し、冬のなばなともう一つ何かをと思っていた時に、この会社のオクラの話を耳にしました。

 隣の町の農家さんたちが、以前からこの会社と付き合いがあり、オクラ部会を作って出荷をしていました。

 偶然、知り合いの会社が、この出荷を担っていたことで、私も仲間に入れてもらうことができたのです。


 契約栽培なので肥料、栽培方法、農薬等々いろいろ縛りはありましたが、担当者が真面目な好青年ということもあり、生産は楽しいものでした。


 栽培期間は四月から十月の半年間で、初年度からそこそこの稼ぎになりました。

 二年目も順調に出荷は進み、無事シーズンを終えることができました。

 シーズンが終わり、来年もよろしくという挨拶が会社からあり、さらに次年度の栽培方法等の会議も会社側の担当者がやってきて行われました。


 ところが、話は急転します。

 三年目の四月、もう畑の準備も済んだころに、会社から一枚の文書が来ました。

 内容は、オクラが思ったほど儲からないので、今年度からは契約しないという物でした。

 出荷の中継ぎをしていた会社も部会員も寝耳に水。

 オクラの前の、トマト栽培のころから十年以上付き合いのあった農家さんもいたのですが、A4一枚の文書でサヨナラ、でした。

 出荷を担当していた会社が、問い合わせたのですが、思ったとおりのもうけにならないので撤退する、それだけでした。


 どうも後継者として二代目が会社に入ったころから、内部でいろいろあったようです。前の担当者は会社の方針に異を唱え、実質、クビになったという話も聞きました。

 ちなみに、彼はやり手だったようで、その後もテレビなどで顔を見かけました。


 ま、会社はその後、あまりうまくいかなくなったのか、あちこちの出先を切り離し、都内のデパートにあった店舗も、人手に渡ったらしいです。そちらは今は〇〇〇〇東京という名前になっていますが、○○○○(元の会社名)とは無関係なようです。

 ○○○○は、まあ、あんなやり方なら、いずれは倒産だろうとは思います。


 閑話休題、こんな会社ばかりではないでしょうが、契約栽培一本にして相手がこんな所なら、首くくりものです。


 それでも、契約栽培は、やはりうまみが大きいものです。

 今は、バジルを契約で作っています。

 この会社を始めた人は、バジルでは有名な人らしく、うちの納めたバジルを使った製品はNHKのラジオでも紹介されました。ちょっと自慢(笑)


 ここは小さな会社ながらも、生産者と一緒に儲ける、という方針のようで、担当の方も熱心に動いてくれています。


 バジルはべと病という病気にかかることが多く、かかってしまえば、もうその年の生産は終わりになってしまいます。


 ここ数年はこの病気が、まんえんし、この地域のバジルは他の大手食品会社と契約してる人たちも含め、大打撃を受けました。


 その際も、会社は単価を上げる党の対応をとる棟頑張ってくれました。まあ本音で言えば、もう少し買取価格が高くてもいいとは思うのですが、贅沢は言いません。


 それでも、契約栽培は相手の会社の都合で契約解除や、約束した金額がもらえない等の話をよく聞きます。


 私はこれ以上手を広げるつもりがないのですが、皆さんがやられるならば、会社の評判や担当者の人柄等、よく考えて行ってもらいたいと思います。

 ちなみに大手だから大丈夫ということはありません、大手ほどビジネスライク、斬る時はバッサリ斬ります。







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