それは入り混じる虚実のような
私はスマホを持つ手が激しく震えているのを感じた。
これはどういうこと・・・
この「信じてはいけない」と言うのは九国さんと一二三さんの事?
何で・・・
いや、それよりも山岡さんがどうして・・・
何もかも分からなかった。
ただ、山岡さんが私たちの事を知っている、と言うことがこのラインを軽く扱えなかった。
そして雄大さん。
突然私たちの担任に。
情報量の多さに混乱してくる。
一二三さんにまずはこれを見せて・・・と思ったが、却って混乱させそうな気がして内緒にすることにした。
とにかく、何とか山岡さんにこの事を問いただしたい。
「どうしたんですか?眉間に皺寄せて」
突然の一二三さんの声にビックリして思わず声を出してしまった。
「ご、ご免なさい。考え事してて」
「ダメですよ!それじゃ先輩と同じじゃないですか。せっかくの美人さんがもったいないですよ。あ、先輩とも連絡着きました。お昼休みにランチしながら会議しましょ」
ニヤニヤしながら話す一二三さんを見ながら、山岡さんのラインによる緊張感が抜けていくのを感じた。
そうだ。
2人は私の一番の味方だ。
2人を信じないでどうするんだ。
そしてお昼休み。
私は一二三さんと保健室に向かう間、心臓がうるさくなっているのを感じていた。
やはり山岡さんからのラインが気になっていたのだ。
着いたらすぐに2人に報告しよう。
私はそう決めていた。
この混乱する状態も2人ならきっと、どうにかしてくれる。
そう思いながら歩いていると、目の前から山岡さんが歩いてくるのが分かった。
「山岡さん・・・」
だが、山岡さんは私には目もくれず一二三さんを見て言った。
「北大路さん・・・だっけ?ちょっとあなたに話があるんだけど?」
「え?私?う~ん、蒼ちゃんをいじめるような人とは話すことは何も無いんだけど」
「私はあるの。ナンバーサーティン」
その途端、一二三さんの周囲の空気がスッと下がった様に感じた。
「蒼さん、先に行っててもらってもいいですか?すぐに後を追うので」
わたしは状況の理解が出来ず、呆然としていたが慌てて保健室に駈けだした。
とにかく九国さんに会いたかった。
この状況を相談したい。
もう少し。
息を切らせながらドアを開けた私はそのまま固まった。
そこに居たのは・・・
「ナンバーナインなら来ないよ。蒼ちゃん」
椅子に座って、私をじっと見る雄大さんだった。
「雄大・・・さん」
私は身体が酷く震えるのを感じた。
九国さんはどこに・・・
とにかくここに居ては行けない。
慌ててドアに向かってかけ出す私は、雄大さんが次に発した言葉にも思わず足を止めた。
「僕と山岡さんは君の味方だ。判断を間違うな」
え・・・それ、どういうこと。
「ご免なさい。何が何だか分からない」
そうつぶやく私に雄大さんは優しい口調で言った。
「言葉通りさ。『今の』僕と山岡さんは君の敵じゃ無い」
「ごめんなさい。言ってる意味が分からない・・・」
「まあ、そりゃそうだよね。情報量多過ぎだし。あまり時間もないから手短に話すよ。まずは・・・」
その直後、ドアが開き一二三さんが現れた。
「一二三さん・・・」
私は張り詰めていた気が緩み、涙を浮かべながら一二三さんに駆け寄った。
「聞いて、一二三さん!雄大さん、私に・・・」
だが、最後まで言い終わる前に私は言葉を失った。
駆け寄る私に一二三さんは銃を向けたのだ。
「どうして・・・」
旺然とする私に一二三さんは言った。
「状況はかわるのだよ、斎木蒼。我がE・A2は君の体内のファイルを必要としている」
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