私が王子様と出会ったのは小学校五年生はときだった。

 王子様は頭が良くて、顔もかっこよくて、性格も良くて、人望もあって、誰にでも優しくて、先生たちからの信頼も厚くて、いつも教室の中心にいるような人だった。(私とは大違いだった)

「これからの人生において、もっとも僕たちが大切にしなければいけないことはなんだと思う?」

 ある放課後の日、そんなことを王子様は言った。

「大切にしなければならないこと?」

 私は言う。(王子様は『大切』と言う言葉をよく口にした)

「勉強して頭のいい高校や大学を目指すこと? それとも新しいアイデアや技術を考えてお金を稼いだり世の中の役に立つことかな? それとも自分自身を磨いて周囲の人たちから、あるいは自分自身から評価されることだろうか? 君はどう思う?」

 にっこりと笑って王子様はそう言った。

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