変身(旧)
雨世界
1 私はここにいるよ。
変身
私はここにいるよ。
……今、私の隣にいてくれない、あなたのことを思い出しながら。
君の瞳はいつもきらきらと輝いていた。あらゆる不可能なことを可能にすることができるような、そんな不思議な瞳をしていた。
本編
猫みたいだってよく言われてた。
確かに私は猫によく似ているし、仕草も性格も顔も猫っぽかった。
誰かにうまく甘えることもできなかった。
一人が好きだった。
気楽な生活が、毎日ごろごろしているだけの日常を宝物のように大切にしていた。
いつまでもこんな暮らしを続けることはできないってわかっていた。
どこかで必ず私は今の幸せのぶん、誰かのためになにかをしなくてはいけないのだとわかっていた。
幸せはただではないのだ。
当たり前の毎日が当たり前ではないように、私は自分でも気がつかないうちに、ほかの名前も顔も知らない誰かの命によって守られているのだと知っていた。
でもまだもう少しだけこうしていたかった。
幸せな家の中で、暖かい陽だまりの中で、時間を気にせずに、ただぼんやりと、眠り続けていたかったのだ。
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