残忍で無慈悲で、弱く優しく愛しい、勇者と魔王の話

神野咲音

残忍で無慈悲で、弱く優しく愛しい、勇者と魔王の話 表

 二つの大陸がある。


 人間が支配するセイヒョウ大陸と、魔族の跋扈するリシン大陸。もとは一つの大地だったというが、人間と魔族が千年前に起こした戦争で二つに割れた。


 それ以来、二つの大陸は長い年月、お互いに対する不干渉を貫いてきた。しかし、セイヒョウ大陸における魔物の被害増加に伴い、「魔王討伐、リシン大陸制圧」の声が大きくなってきた。


 セイヒョウ大陸を分け合う国家間での話し合いの結果、魔王討伐作戦が決定され、各地で選りすぐられた強者の中から勇者が選び出された。


 決して折れぬ心で突き進む勇者と、彼を支える精鋭たちは、大歓声の中送り出された。






 そして、最初に出会ったのがこちらだ。



「あっ、お前勇者だろ!」



 街を出ていくらかも歩かないうちに、街道のど真ん中に仁王立ちして勇者を指さす男。それだけならば「また握手か」とにこやかにやり過ごすが、それにしては男の頭から伸びる捻じれた角が禍々しすぎる。



「魔王を倒すなんて、無駄なことなのにな……。人間が勇者を選んだって言うから、わざわざ邪魔しに来てやったんだぞ!」



 あまりに軽い口ぶりに気を抜きかけるも、勇者は剣を握り締めて身構えた。真の実力者ほど、その振る舞いからはそうと悟れないのだ。勇者の誕生を聞き、魔族が初っ端から実力者を送り込んできた可能性は高い。


 だが、そう簡単にやられるほど、勇者とて弱くはない。


 警戒を怠らない勇者一行に、角を生やした男はにやりと笑う。



「ま、そうこなくっちゃな。来いよ勇者、お前の冒険はここで終わりだ!」



 手汗が滲む。風の音がよく聞こえる。靴の下で動く砂粒すら、知覚できる。


 このために選ばれた。魔族と戦い、魔物の被害に苦しむ人々に笑顔を届けるため、勇者は選ばれてここに立っているのだ。


 こんなところで終わる訳がない。終わらせてなるものか。


 踏み込みは同時。抜き放った勇者の剣と、男の拳がぶつかり合い――、


 角男の首を刎ねて、終わった。



「……え」



 地面に倒れ伏した男の体が、さらさらと溶けて消えていく。



「よわ……」



 神官が思わず、といった様子で呟いた。







 魔物の生まれる沼を越える必要があった。そこに住む人々は、年々広がっていく沼に絶望し、いずれ村が沼に飲まれるのを待っているという有様だった。


 苦戦はしたものの、魔物を討伐し、沼を焼き払うことに成功。村の人々に感謝され、僅かばかり持たされた食料を大事に抱えて、旅を再開させた時だった。



「勇者発見!」



 上空から飛んできたのは、蝙蝠のような翼を生やした男だった。



「俺は相手を舐めてかかるような真似はしないからな! くらえっ!」


「!?」



 男の手のひらから生み出された火球が、こちらに向かって飛んで来る。息を呑んだのと同時に、戦士が盾を構えて地を蹴った。


 呼び止める間もなく、火球と盾がぶつかり合い、大爆発を起こす。



「やったか!?」



 煙の向こうから、そう喜ぶ声がする。


 勇者はそれを、しょっぱい顔をして振り向いた戦士と一緒に聞いた。



「よわい……」



 盾には傷一つ付いていなかった。


 蝙蝠男は、戦士の盾で殴られて死んだ。







 魔族の襲撃を何度か受けつつ、勇者たちの旅は続いていた。


 やはり種族が違うからか、襲ってくる男たちの容姿は似通っているようにしか見えない。しかも、大抵は大言壮語を吐きながらも一撃で死ぬほど弱いため、あまり印象にも残っていない。


 毎年生贄を食っていたという山の主を倒し、山を下りたその直後だった。



「見つけたぞ勇者ご一行! ここで降伏すれば見逃してやろう!」



 鱗に覆われた巨大な尻尾を地面に叩きつける男が、岩に腰かけて待っていた。


 上から目線で言い放つ尻尾の男に、生贄だった娘が悲鳴を上げる。戦士が娘を背負い、村まで送り届けてくる、と離脱した。


 男はそちらには目もくれず、勇者を見てニヤニヤと笑う。



「所詮お前程度じゃ、魔王を殺すことは不可能だ。ここで諦めた方が身のためだぜ?」



 なんとなく、なんとなくだが、この後の流れが分かったような気がしてならない。


 一応油断なく剣を構えつつも、勇者は口を開いた。



「そう言うお前の目的はなんだ?」


「簡単なこと。この山を越えれば港町。つまりリシン大陸は目と鼻の先。海を越えてから絶望するのは可哀想だからな」



 つまり、結局は。魔族は勇者のことを無視できないのだろう。


 妙な高揚感を覚えつつ、勇者はそれを誤魔化すように剣を振った。



「引き返せば許してやらんことも――」


「あ」



 尻尾男は剣圧で吹き飛んで死んだ。



「よわ……」



 シーフが小さく吹き出した。







 港町の人々が用意してくれた船で、勇者一行はリシン大陸へ降り立った。


 魔族の大陸には、生活の跡が見える。村があり、農地があり、街がある。


 だが、どこまで進んでもそこに住む人々は確認できなかった。


 無人の街や村を抜け、街道を歩き、幾度か野宿をした後、あっという間に魔王の住む城に辿り着いてしまった。



「……どう考えてもおかしい」



 戦士が険しい顔をする。



「ええ。つい最近まで生活していた痕跡があるのに、誰もいないなんてありえません」



 神官が頷く。シーフもそれに同調した。



「ここは魔族の大陸だろ? なら、こんなに堂々と城まで辿り着けるはずない。だって私たち、魔王を倒しに来たんだぜ?」



 弱いとはいえ、これまで魔族の襲撃も受けている。なら魔王は、勇者の動きだって分かっているはずだ。


 魔王城で、待ち構えているのだろうか。


 勇者は気合を入れて、城に足を踏み入れた。


 城内にも気配はない。警戒しつつも奥へと進めば、一つだけ、大きく開かれた両扉があった。


 仲間と顔を見合わせ、勇者は扉をくぐる。


 そこは大広間のようだった。セイヒョウ大陸では、いろんな王城に入った。だから分かるが、魔王城の大広間は普通ではなかった。


 無駄に空間が広く、装飾が華美なところは同じだ。だが、その最奥に玉座はなく、代わりに幾重にもカーテンが垂らされた寝台があった。


 寝台の傍らには、燕尾服を身に纏った異形がいる。爬虫類のような手足を備えた男は、勇者たちに微笑んでから、寝台の中へ声をかけた。



「陛下、お目覚めの時間ですよ。お客人です」



 恭しい手つきで差し伸べられた鱗の腕を、寝台の中から出てきた手が掴む。



「えー……? まだ成長しきってないんだけど。ほら見て、角が短い」


「短い角もお可愛らしいですよ、陛下。大丈夫です」


「可愛かったら駄目じゃない? お客人って、魔王のこと殺しに来た勇者だろ?」


「あなたは我々の愛しい魔王陛下ですから」



 その言葉通り、魔王の側近らしき異形の燕尾服は、慈愛に満ちた瞳を寝台に向けている。


 ここまで敬愛される魔王とは、一体どんな相手なのか。


 勇者は生唾を飲み込んだ。



「……ですから、あまり無理なさいませんように」


「あーはいはい。お前は下がっててね」



 寝台から魔王がゆっくりと姿を現す。勇者も、仲間たちも、息を呑んだ。



「お前は……!」



 額から伸びた禍々しい角。背中で動く蝙蝠のような羽。鱗に覆われた長い尻尾。人間とはあまりにも違うと一目で分かる、その姿。


 だが、勇者たちを驚かせたのはそこではなかった。


 寝台から起き上がったのは、これまでに何度も勇者たちの前に現れた、あの弱い魔族だった。



「こっちの大陸には来るなって言ったのにさー。お陰で皆を避難させなきゃいけなくなって、忙しかったんだから。……俺の部下が」



 小さく欠伸をした魔王は、ぐっと体を伸ばして寝台から降りてくる。



「まあ、お前らがあそこで諦めるわけないのは分かってたから? 俺も体を成長させるのに時間かけたけど……。全部生やすの、ちょっと大変だからさ」



 ちらちらと尻尾を振って、魔王は「よし」と拳を握った。



「それじゃ、お前らは同一人物だって今気づいたみたいだけど。弱い魔族、あらため魔王です、よろしく~」



 あまりにも緩すぎるその口調にも、覚えがある。



「まあ、お前らが俺を殺すなんて、絶対できないんだけどさ」



 その、大言壮語も。



「来ちゃったからには仕方ない、相手してやるよ」



 こちらを見る目に宿る、確かな殺意も。


 相手は強くない。そう分かっているはずなのに、体中に汗が滲む。それは、やはりここが敵の本拠地だからだろうか。それとも、別の魔族が魔王の後ろに控えているからか。


 魔王は肩をすくめて、勇者たちを手招きした。



「ほら、いつもみたいにかかって来いよ。俺を討伐するんだろ? 無駄なのに、人間も馬鹿だよなあ」


「う、おあああああああ!」



 雄叫びを上げ、最初に突進したのは戦士だった。


 盾を構えながら、魔王に向かってまっすぐ走る。魔王はそれを避けようともせず、一応は弾き返そうとする構えを見せたものの。


 いつもの通り、あっさり貫かれて死んだ。


 さらさらと溶けていく魔王を、呆然と見下ろす。


 ――まさか、これで終わったのか?


 あまりにも手応えがない。そんな訳がない。魔王との戦いが、こんなにあっさり終わるなんて。


 燕尾服の側近が、ゆっくりと寝台に近づく。



「魔王陛下、お目覚めの時間ですよ」


「うぇー……。胸が痛い」


「おや……。これはこれでお可愛らしい」


「ええい、可愛いって言うな!」



 側近が両手で、何かを持ち上げる。寝台から床に下ろされたのは、五歳くらいの子供だった。


 角も、羽も、尻尾もない、ただの子供。


 それが、魔王と呼ばれて頭を撫でられている。



「え、え、なんで……」



 神官が狼狽えて、口元を手で押さえている。彼女は確か、子供が好きだった。



「あり? 子供の姿だと戦いづらい感じ?」



 それに気づいた魔王が、ポリポリと頭を掻いた。



「仕方ないから、もっと大きくなってやるよ。ほら」



 魔王の体が、急激に成長していく。戦士が後ろに跳び退り、一歩だけよろけた。


 みるみる大きくなる魔王の体。羽と尻尾は生えず、ただ角だけが伸びていく。初めて会った時と同じ姿になった。



「で、まだやるのか? どうせ絶対殺せないけどさ」



 魔王の目が勇者を見据える。


 くらりと、眩暈がした。







 何度やっても、何をやっても、どうやっても、魔王が殺せない。


 正確には、殺せる。殺せるが、その度に寝台から起き上がって来る。



「魔王陛下、お目覚めの時間ですよ」


「魔王陛下、お目覚めの時間ですよ」


「魔王陛下、お目覚めの時間ですよ」



 そう言って、側近が手を差し伸べれば、当然のように魔王がそこにいる。


 最初に脱落したのは神官だった。時々、成長が足りていない姿で、「ごめんなぁ」と言いながら向かってくる魔王を殺しきれなかった。瀕死の重傷で「えぇー、ちゃんと殺してよ……」と痙攣する子供に、悲鳴を上げてうずくまってしまった。


 次はシーフだった。人の姿をした相手を殺すことに対する耐性が低かったのか、途中から手が震えて武器が持てなくなってしまった。


 そして、戦士。さすがに魔王を何度も殺すことには抵抗が無かったようだが、何度も魔王の骨を断ち、頭蓋を砕いた槍と盾が、壊れてしまった。


 勇者は。


 心も、剣も、折れずに戦い続けたけれど。



「陛下、そろそろ夕餉のお時間ですよ」


「あー、確かに腹減ったかも。朝からずっと死んでるしな。勇者ご一行、諦めないんだったら、また明日来てくんない? 壊れちゃった武器の代わりは用意しとくしな」



 魔王が手を叩くと、メイド服を来た女性たちがぞろぞろと入ってきて、砕け散った盾の破片を片付けていく。


 魔王は完全に休息するつもりらしく、寝台の端に腰かけて側近からグラスを受け取っていた。


 立ち尽くしていた勇者は、のろのろと剣を鞘に納め、神官の体を支えて立たせた。メイドたちに促されるまま、大広間を出ようとして、呼び止められる。



「ああ、そうだ。聞きたかったんだよ」



 魔王の無邪気な声が、もはや初めの頃とは異なって聞こえる。


 びくりと肩を震わせて振り返れば、魔王は静かな表情でグラスを弄んでいた。



「お前らさ、何のために俺を殺そうとしてんの?」


「なんの、って」


「だってさ、魔物なんて魔族とは関係なく生まれる、ただの動物だし。俺が制御できるようなもんじゃないし、たとえ魔族を殺し尽くしたって、セイヒョウ大陸にいる魔物の問題は解決しないぜ? 千年前の戦争にしたってさー、大地を割るような戦いはもうするなって、神が止めたじゃんか。……あれ、もしかして人間の方はそういう歴史、伝わってない? これだから短命の種族はー。俺はじいちゃんから聞いたけど、人間と魔族の戦争は、酷くなる前に神が止めに来るんだよな。だから、どうやっても戦争なんて起きないんだけど」


「……は」



 呼吸が止まりかけた。



「そうそう、お前らが助けた生贄の女の子? あの山の主に食べられかけてた子。あの子、つい昨日生贄になって死んだよ。山の主に子供がいてさ。って言っても、あそこの魔物は別に、自分から生贄を欲してたわけじゃなくて、村の連中が怖がって勝手に生贄を捧げてただけだから。別の魔物が現れれば、生贄の儀式は復活する。当然のことだよなー、可哀想だけど」


「え……、な」



 言葉が出ない。



「あと、魔物が生まれる沼だっけ? あれは自然現象だから、あそこに住まないってこと以外には解決策ないよ。あと百年もしたらまた沼が湧くんじゃないか? あ、でも百年もかかるんだったら、人間は忘れちゃうのか。はー、ほんと難儀だな、人間って」



 魔王が何を言っているか分からない。


 だって、それならば勇者たちは、何故ここまでやってきたのか。


 今は疲れている。だから、魔王が嘘をついていたとしても判断ができない。


 頭の中に残った冷静な部分がそう言って、勇者は無理やり自分を落ち着かせようとした。魔王の言っていることはきっと嘘だ。奴を本当に倒すことができれば、魔物は消えて、セイヒョウ大陸には平和が戻る。


 そう、思っているのに。


 理性ではない、心のどこかが叫ぶのだ。


 「この男は、そんな嘘をつけるような性格をしていない」と。


 今まで何度も、真正面からやって来た男の姿を知っているから。


 根が生えたように棒立ちになった勇者に、魔王は目を瞬かせた。



「あー。答えらんないんだったらいいよ。じゃ、また明日な」



 気が付けば、寝台近くに控えていた側近が、大広間の扉付近に立って控えている。目線で強く促され、勇者は神官を抱え、戦士もシーフを支えるようにして、大広間を後にした。


 真後ろで巨大な両扉が閉まる。出直さなければ。対策を考えなければ。そう思いながら、体を引きずるようにして歩き出そうとした時。



「ああ、勇者一行。少々お待ちを」



 燕尾服の側近が、勇者たちの前方に回り込んできた。



「お伝えしなければならないことが」


「……? 何を」



 戦士が小さく勇者の名前を呼んだ。促されて背後を見れば、先程大広間を掃除していたメイドたちが並んでいる。



「我らが愛しの魔王陛下は、それはお優しい方でして」



 側近は穏やかな微笑みを浮かべてみせた。



「国民を傷つけるわけにはいかない、俺は死なないからと……、お一人だけであなた方と戦うことを選びました。誰よりも弱い、血筋だけで選ばれた魔王だというのに」


「……」


「あの方の能力は、『転生』と『成長』。死んだとしても必ず生まれ直し、任意の姿に成長できる。けれどね、痛みや苦しみが消えるわけではないのですよ。痛みに耐えて転げ回る姿を決して配下の者に見せないよう、寝台に目隠しをしてまで……、陛下はあなた方に殺されるために出て行った。民を、一人として失わないように」


「……」


「分からないのでしょうね、勇者。あなたには……。守るべき魔王陛下に守られ、その苦しみを癒すこともできない我々の気持ちなど……。唯一あの方のお傍に侍ることを許された、この私の張り裂けそうな胸の痛みなど……。何が何でも民を守ろうとされた、陛下の気高さなど!」



 側近の瞳が縦に裂けた。剥き出した歯の隙間から、細長い舌がちろりと覗く。



「陛下の質問に、貴様らは何の答えも返さなかった! 何故魔王を殺すのか? 貴様らはその答えを持たない! 思考を止め、ただ選ばれたからと惰性でここまで来た! お優しい、愛しい我らが陛下を殺しながら!」



 腕の中で神官が震える。戦士が後ずさりする。シーフが尻餅をつく。


 勇者は、決して折れない心を持つ勇者は、ただ、呆然と側近を見ていた。



「許してなるものか! あのお方は、『あいつらが到着するまで手を出すな』とお命じになられた……。だが、帰り道のことは何もおっしゃられなかった! ならば! 今が報いを受けさせる時ッ!」



 メイドたちが後ろから抑え込んでくる。それに抵抗する力は、体にも、心にも、残ってはいなかった。



「簡単に死んでもらっては困る。貴様らには、魔王陛下以上に苦しんでもらわねば。そのために回復魔法が使える者も大勢用意したのだ。ああ、それに、一度でいいから貴様らの肉を引き裂きたいと願う国民が城に集まっている。全員の爪や牙を受けるまで、殺しはしない……」



 引きずられていく仲間が悲鳴を上げる。メイドたちが猿轡を噛ませる。助けてくれと、必死の視線が勇者に集まるけれど。


 もう、勇者は、勇者ではなかった。


 ただ、怯えて震えるだけの男になり果てていた。



「ああ、決して陛下には悟られぬよう。あのお方は隠蔽魔法を見破れませんから、どこかの屋内に閉じ込めてしまいなさい」



 そんな側近の声に見送られ、引きずり出された城門の外。


 誰もいなかったはずの街に、いつの間にか満ち溢れた魔族たちが。


 僅かな曇りもない憎悪の視線を、無力な人間たちに向けていた。







 勇者の旅立ちに端を発して。


 魔王は二つの大陸の歴史に、名を刻むこととなる。


 セイヒョウ大陸においては、「史上最も残忍で無慈悲な魔王」、と。


 後世に伝えられた絵画には、四つの生首を嬉しそうに掲げる大男が描かれている。

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