設定資料 魔法編

魔法とは…

◆魔法とは…

 魔力を用いて特定の事象を発生させる技術。

 基本的な魔法の発動手順は、


 ①準備…呪文詠唱や魔法陣の展開等

 ②魔法名の宣言

 ③魔法発動


 以上の三行程。

 但しこれは、人間が扱う魔法に限られた原則であり、魔物が扱う魔法はそもそも原理が異なる場合もある為、必ずしもこの原則が当て嵌まるとは限らない。魔法は様々な系統が存在するが、王国で主に扱われているのは属性魔法。次点で神聖魔法。他に結界魔法、時空魔法などの細々としたものが属性魔法に取り込まれる形で扱われている。様々な系統の魔法が存在しており、王国では属性魔法が主流であるが、例えば隣国の聖竜国では竜にまつわる魔法や、身体強化系の魔法が主流だったりする。



◆属性系統

 

《属性魔法》

 人や魔物が内包する魔力には基本的に属性があり、何の属性の魔力を持つかにより、扱える魔法も変わってくる。火の属性魔力を持つものは火属性の魔法が扱え、暗黒の属性魔力を持つものは暗黒属性の魔法が扱える。極小数ではあるが、複数の属性魔力を持つものや、逆に無属性の魔力を持つものも存在する。

 属性魔力を持つものが扱うもっともスタンダードな魔法が、特定の属性現象を引き起こす属性魔法である。属性魔法は、基本的に持ち前の属性魔力を消費し、周囲に存在する小精霊エレメントの手を借りる事で魔法現象を引き起こしており、数ある魔法の中でもかなりコストパフォーマンスが高い。習得難易度も低い為、王国では属性魔法が主流。


《基本属性》

 王国では暗黒、光、火、水、風、地——この六属性が基本属性とされており、これ以外のものは派生属性、或いは希少属性と呼ばれている。基本属性と呼ばれる通り、王国ではこの六種の属性魔力を持つ者の数が多く、その他は希少と呼ばれる通り少数である。


《希少属性・派生属性》

 基本六属性以外の属性を指す。希少属性も派生属性も呼び名が違うだけで、指す意味合いは同じ。王国での魔法学においては、基本六属性が魔力の基礎として存在しており、それ以外の属性は基本六属性の派生から生まれたものとされている。氷属性は水属性の派生、雷属性は風属性の派生とされる。しかしこの定説は、近年では否定されている。個々の属性は独立した別物であり、厳密には派生では無いとされ、派生属性の名称を改め、希少属性と呼ばれる様になってきている。

作中で登場しているものは——氷、雷。他にも鉄、霧、音等がある。

 因みに、アンネゲルトが用いている植物の魔法は、特定の自然現象を操る属性魔法の概念から外れたものであり、原理が根本的に異なる。植物は現象ではなく生物である為。


《属性相性》

 属性には有利不利となり得る相性が存在するものがある。基本的には自然現象に沿ったものであり、必ず存在している訳ではない。又、属性の質、強度によっては相性の有利不利が反転する事もある。例えば、火は水が属性不利になり得るが、その温度を極限まで上げれば弱点とはならず、寧ろ蒸発する為、高温の火は水にとっての不利となる。


 光…有利:暗黒 不利:無し

 暗黒…有利:無し 不利:光、火、雷等、発光するもの全般

 火…有利:暗黒、風 不利:水

 水…有利:火 不利:地

 地… 有利:水 不利:風

 風… 有利:地 不利:火


 因みに、六属性で最強とされているのは、相性不利が無く、攻防共に優れた光属性である。しかし、相性有利が無い暗黒属性が最弱と呼ばれた事は歴史上無い。その理由として、各属性が出来る事の大概の事は、暗黒で再現出来てしまうという恐るべき汎用性の高さと、王国貴族随一の武闘派がライトレス家(暗黒属性の超名家)である為。


◆他系統


《無属性魔法》

 属性魔法が主流の王国のみで使われる用語。属性魔法以外の系統の魔法を指す。結界魔法や転移等の時空魔法、一見して属性に根差しているかに思われる古代魔法も、厳密には無属性魔法に該当する。いずれも属性の発現はあるが、それは属性魔力を用いて発動している為。属性魔法は基本的に属性現象以上の事は出来ない。火は火以上の現象を起こせず、水は水以上の現象を起こせない。例として、作中で多用されている転移魔法——《影渡りシャドウムーブ》は、飽くまでも転移が本質であり、暗黒属性はその発動の媒体でしかない。

・時空魔法…時間や空間系統の魔法。転移もこれに該当。転移系統は王国では王国法の下厳正に管理されており、長距離転移は当然として、短距離でも複数人を運ぶ転移の術式は一般には普及しておらず、その行使すら許可無しに行えば厳罰に処される事となる。

・結界魔法…一定の領域内にルールを課す魔法。魔力を遮断したり、特定の属性や術式の使用を禁ずる事も出来る。

死霊魔法ネクロマンシー…古代に廃れた魔法。現代では文献でしか残っていない。

・神聖魔法…治癒、浄化、解呪、他にもバフ等も出来る。使い手は適正の有無で決まる。又、行使するには魔力の他に信仰心も必要。


《古代魔法》

 種別的には無属性魔法に該当。属性魔法の上位互換の様に見えるかも知れないが、その発動原理は大きく異なる。属性魔法が魔力を用いて小精霊エレメント——所謂自然の意思に協力を仰いで発動するのに対し、古代魔法は魔法的現象を《世界の意思》の許しを得て発動する。故に、理論上は属性以上の現象——概念的現象を引き起こす事も可能。但し、大きな力を扱うには相応の対価が必要。現代では殆ど廃れた魔法であり、ライトレス家の様な古くから続く家に代々受け継がれ、一部現存している。


◆呪文


《呪文詠唱》

 魔法を用いる際の呪文の詠唱。属性魔法の発動に用いる詠唱は精霊語であり、実は人には発音出来ない言語である。魔法使いは、人間でありながら魔法発動の為に精霊語の呪文詠唱を行えるが、これは魔法術式を理解する過程で脳に刻まれ、自然と口から発せられる様になる為である。その呪文の意味は、実は術者自身よく分かっていない。

 因みに、古代魔法の呪文は精霊語ではなく古代語であり、属性魔法とは違い、その意味を正しく理解していないと扱えない。簡単に要約すると、属性魔法は小精霊エレメントに対して「〇〇をしたいから補助をしろ」というような命令形であるのに対し、古代魔法は世界に対して「〇〇を〇〇したいので、許可を下さい。対価に〇〇を捧げますので」の様な、やりたい事の具体的な説明と伺いを立てている。


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