第13話 商店テラ開店
宿屋の部屋に戻った私は、商品の事を考えていた。
最初は、基本的なアイテムを中心に品揃えしておこう。
商業ギルドで買って貰った物を中心に考えると、「赤いポーション」、「アイテムボックス(木製)」、「毒消し」、「青いポーション」ぐらいがよさそうだ。
そこで、地下牢前の工房に転移魔法で、移動した。
まずは、材料集めだ。アイテムボックス用に木材を、ポーションと毒消し用に薬草が必要だ。
一つ上の階に上がり、草原で薬草を採取した。次に、森に行き、木材を集めた。
十分な材料が揃ったので、私は、アイテムを作り始めた。アイテムボックス(木製)は、10個だけ作った。これ以外は、100本ずつ作っておいた。
これで、店を開店できる。
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朝になったので、私は、宿屋と出て、自分の店に向かった。店に入って、まずは、掃除だ。店は、地上2階建てで、1階部分が店で、棚とか一揃い揃っていた。
2階は、住居部分で、寝室・書斎などがあった。次に、地下室に行った。ここは、見せかけの商品を置いておくつもりだ。本当の倉庫は、更に下に作るつもりだ。
地下室の奥の隅の床板を剥がし、その下の土の部分に土魔法で、階段を作った。3mぐらいの高さをもった階段になっている。
次に、階段を下りて、現在の店と同じ広さの地下室を追加した。出来た空間を闇魔法で結界を作った。
階段近くに、転移魔法用の魔法陣を描いておいた。これで、宿屋からここへすぐに移動することが出来る。
最後に、階段の天井部分を元に戻し、ここも、出入口が分からないように闇魔法で、カモフラージュした。
1階に上がって、前日に作ったアイテムを並べておいた。各アイテムの下に値札と簡単な説明を付けておいた。
例えば、「赤いポーション」であれば、「1本、金貨1枚」と値札を付けて、「初級HPを100回復(インターバル60秒)」というような説明を書いておいた。
手持ちの金貨が少なくなってきたので、冒険者としてのランク上げも兼ねて、ダンジョンに潜ることにした。以前使っていた装備を利用することにした。防具は、大きさが合わないので、弓とダガーを持っていくことにした。念の為に、赤のポーションと青のポーションと毒消しもアイテムボックスにそれぞれ20本ずつ入れておいた。
1つ上のランクの魔物までしか、狩ってはいけないので、今回は、中級ダンジョンで、ポイズンスライムを中心に狩ることにした。
転移魔法で、中級ダンジョンに移動して、ダンジョンの中に入っていった。スキル探索で、ポイズンスライムの位置を確認して、素早く狩って行った。
既に、毒耐性を持っているので、普通のスライムと同じように狩ることが出来る。30匹狩った所で、少し休むことにした。
次にワーウルフを狩ることにした。スキル探索で、調べると、第13階層にワーウルフが17匹群れていた。急いで、第13階層まで、もぐり、少し離れた所から、弓で倒していった。1匹、また、1匹と倒していく間に、残りのワーウルフが、近づいてきた。
私は、盾で防ぎながら、ダガーで、首を切っていった。少し手間取ったが、すべてのワーウルフを倒すことが出来た。
私は、落ちている魔石と冒険者ギルドに収めるための証拠品を集めて行った。ワーウルフの場合は、牙と魔石になる。
ある程度、狩ることができたので、転移魔法で冒険者ギルドの裏手に移動し、収集したものを売ることにした。
冒険者ギルドに入っていくと、名札にリンダと書いてある女性がいたので、手続きをお願いすることにした。
「すみません。お願いします」
「はい、お待たせしました」
「ダンジョンで、魔物を狩って来たのですが、引き取って貰えますか」
「それでは、このトレーに入れてください」
私は、アイテムボックスから、ポイズンスライムの魔石をトレーの中にすべて出した。
「30匹ですね。1匹金貨1枚なので、金貨30枚になります。
冒険者IDを見せてください」
「はい、これです」
「テラさんですね。金貨も、IDに記録してよろしいでしょうか」
「はい、お願いします」
「ランクアップしています。確認してください」
私は、リンダに言われるまま、冒険者IDを受け取り、ランクを確認した。
「はい、大丈夫です。すいませんが、もう少しあるのですが、いいですか」
「いいですよ。また、トレーの中に入れてください。冒険者IDも預かりますね」
私は、アイテムボックスから、ワーウルフの証拠品である牙と魔石をトレーの中に入れた。
それから、冒険者IDをリンダに手渡しした。
「これで、全部です」
「はい、ワーウルフですね。全部で、17匹ですね。
1匹が金貨2枚になるので、全部で、金貨34枚になります。
また、ランクアップしています。確認もお願いします」
私は、冒険者IDを受け取って、内容を確認した。
「はい、大丈夫です」
少しは稼ぐことが出来たが、これでは、賢者への道は遥か遠くのような感じがした。
このままで、少しずつ稼いでも、思っている環境には程遠い。
やはり、魔物を狩るのに魔法を使わないと効率が悪い。できれば、一度に多くの魔物を狩れないのかな。ちょっと、早いけど、賢者サビオに聞いてみよう。
私は、思念伝達で、賢者サビオを呼び出した。
「おう、久しぶりにじゃの。元気にしてたか?」
「はい、何とかやっています。今は、テラ ハツネと言う名前で暮らしています」
「おう、テラ ハツネか、いい名前じゃな」
「実は、少し相談なんですが、今、よろしいですか?」
「うん、酒を飲んでいるだけだから、大丈夫だ」
「実は、なかなかレベルアップもしないし、お金もたまらないのです。
どうしたら、いいですか?」
「なんだ、そんなことか?」
「すみません。つまらない事で、相談して」
「うーん、どうしたものかなぁ。
おい、くすぐったいぞ。
今、考え事をしているのが、分からんか。
じっとしておれ」
「あの、賢者サビオ、本当に、今、大丈夫ですか?
また、後にしましょうか?」
「そうじゃな、ゴブリン・ジェネラルを探して、倒してみよ。またな」
そう言うと、賢者サビオは、思念伝達を切ってしまった。賢者サビオは、どこで酒を飲んでいるのやら。でも、楽しそうだったな。第2の人生をとてもエンジョイしているようだ。
私も、負けてはいられない。ゴブリン・ジェネラルか、どこに居るのかな?
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