短編集

暁 成

私を忘れないで

毎日君は、来てくれない

来ても君は、私と話さない。

なんで……

なんで……


昔は、毎日来てくれた

毎日話しかけてくれた

忙しくても体調が悪くても

だけど………


君は、3ヶ月ぶりに来てくれた。


そして久々に声を聞いた。


「俺……結婚するんだ。」


とうとうこの日が来ちゃったんだ……


私が………死んじゃったから


場面転換


私は、君のお嫁になるのが夢だった。

幼馴染の君が大好きで

初めて君に告白された日

初めて君とデートした日

初めて君がキスしてくれた日


とてもとても嬉しかった。


それなのに、高校の卒業式の日

私は、卒業を迎える前に亡くなった

飲酒運転だった。

なんで死んだのに知ってるかって?

それは、君が私の墓の前で話してくれたから


君は、私が死んでから毎日来てくれた

毎日色んな話をしてくれた

毎日………泣いていた


それを見て心が苦しくなった

嬉しいようで

寂しい毎日


私が死んで5周忌

君は、あまり来なくなった

来ても話さくなった

なんで……嬉しいんだろ

なんで……苦しんだろう


君は、きっと好きな人が出来たんだろう。

長年見てきたから分かる。

君の好きな人は、どんな人だろう。

紹介してくれるのかな?

……きっと紹介してくれないよね。


元カノしかも付き合ってる最中に死んだ………

紹介出来るはずないよね……

見たかったな……君の恋人……


場面転換


私が死んでから10年

とうとう君は、結婚しちゃうんだね


嬉しいようで寂しいようで………


本当は、君の隣は私だったのに

今更わがままなのかな?

死んだのも私のせいじゃない

なんで……なんで

でもこんな風にしても

君は、私の事が見えてない


君は、それだけを伝えて去って行く


嫌だ!

行かないで!

今行かれたら二度と来ないような気がする


「私を……私を忘れないで!」


君は、驚いたように振り向いた

私の声が届いたのかな?


「忘れられないよ」


君は、そう呟いてまた歩き出した。

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