ゲームマスターに死角なし

五十嵐将大

第1話 ゲームマスター養成所

「…ついに、ついにこの日が来た!」


俺の名前は鋤柄光基(すきがらこうき)

来月19歳になるゲームマスターの卵だ。

3月に高校を卒業し4月からここ「ゲームマスター養成所」でゲームマスターになる為のいろはを学んでいく。

俺の父親、鋤柄久哉はその昔、凄腕ゲームマスターとして数々の伝説を残し、たくさんのオーディエンスを湧かせた人物だ。

俺はその父の背中を追いかけてゲームマスターを志した。

そして今日ついにゲームマスターへの道の第1歩を踏み出す。


「おーい!光基ー!」

「おっ、亮じゃん。」

こいつは繁野谷亮(しげのやりょう)

俺と同じく4月からゲームマスター養成所に通う幼なじみで1番のライバルでもある。


「ついに俺たちもゲームマスター養成所に通うんだなー。」

「そうだなー。」

「にしてもこんな東京のど真ん中にあるんだな、ゲームマスター養成所って。

もっと田舎の方にこっそり佇んでる感じかと思ったよ。」

光基は周りを見渡してそう言った。

「いや、ちゃんと隠してあるよ。

ほら!」

亮が入口の看板を指さす


[下ー無魔素多ー養成所]


「全然隠せてねーーー!!!

えっ、あれ大丈夫なの!?

なんで、近隣の住民は気づかないの!?」

「まぁ俺たちと同じでバカなんじゃね?」

「なんか納得いかねーけどそうなんか。」


「そんなことより、俺たちは今から何をすればいいんだ?

入学届けは提出済みだけど、4月1日にここに来ること以外何も指示がないんだが、、、

「そりゃ大っぴらに入学式的なものをやる感じでもないでしょ。

とりあえず中入って先生っぽい人に話しかければいいんじゃね?」


2人は養成所の中へと入った。


校門のようなものを抜けた先に小さな建物がいくつかあって、奥の真ん中に恐らく5階建ての建物が1つあった。


「あの奥のでけぇ建物がいわゆる本館ってやつじゃねーか?」

「よし、じゃあ行ってみよう!」


2人は建物の中に入った。


「いらっしゃいませー。」


1階はコンビニだった。


「いや、この大きさで1フロア全部コンビニはおかしいだろ!!

なんか職員室みたいなのないのかよ!?」

「光基大変だ!!」

「どうした??」

亮は建物の隅にある各階のフロアマップをみてこう言った。

「…この建物、1階から5階まで全部違うコンビニだ!!」

「何でだよ。そんなにコンビニばっかりあってどうすんだよ。」


大丈夫なのか?ほんとにゲームマスター養成所なのか?


建物を出るとなんかいかにも先生みたいな人が目の前に現れた。


「君たち、見ない顔だね?もしかして新入生かい?」

「はい!今日から養成所に通わせて頂く鋤柄光基と申します。」

「同じく、繁野谷亮です。」

「鋤柄光基?

もしかして君、、、」

「なんでしょうか?」


「ラキラキ☆ズッキュン☆鋤柄こと鋤柄久哉の息子か!?」

「俺の親父ってそんなハンドルネームだったの!!??

なんかめっちゃ恥ずかしいんだが!!」


もう帰っていいかな?

って少し思ったが、気を取り直して、


「僕ら、今からどうすればいいんですか?」

「君たちにはC棟に行ってもらう。

この養成所には4棟の養成棟があってC棟はこの建物(コンビニ)の真裏にある。

既に君たち以外の新入生が3人いるから、説明は5人揃ってからだ。」

「分かりました。C棟に行けばいいんですね。」

「ちなみに貴方も先生なんですか?」

光基は何気なく聞いてみた。

「いや、私は4階のコンビニのオーナーだよ。」

「オーナーかよ。なんでコンビニのオーナーが俺の親父のこと知ってんだよ。」


2人はC棟へ向かった。

この5階建ての建物が1番奥かと思ったらこの先にもう1つ小さな建物があった。


「ここかな?」

2人は中に入る。

すると中に男2人、女1人の若者3人と1人の40代くらいの男性がいた。


「おっ、来たようだね。

鋤柄くんと繁野谷くんだね?」

「そうです。」

「はじめまして、わたしは君たちの担任

菅沼始(すがぬまはじめ)だ。」


菅沼は2人に席に座るよう促した。

空いてる席がいくつかあったので適当に座った。


「それでは、全員揃ったということで、オリエンテーションをはじめようか。」


いよいよゲームマスター養成所での生活が始まる。

光基は背筋を伸ばし、深く深呼吸した。

必ず凄腕ゲームマスターになる。


菅沼はゆっくりと話しはじめた。



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ゲームマスターに死角なし 五十嵐将大 @autumn1552

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