第16話 登録
「私も冒険者登録しとこうかな」
「セリナがか?」
ライオスに驚いた顔をされた。
ヴォルフも驚いた声を出した。
「だめ?冒険者登録しておいた方が今後いいかと思ったんだけど……」
通貨も持っておかないとだしな。
この世界で生きていくのなら必要だ。他に稼ぐ方法もあるかもしれないけれど、もふもふを探すために冒険をするのだから登録しておいた方がいい。
「だめとは言っていないが……危険なのではと思ってだな」
「危険じゃないクエストを、すればいい、だろう。ライオスくんも、いる、じゃあないか」
マノが紙とペンを出した。
「さっ、登録するんだったら、名を書いておくれ」
私はペンを持ち、名前を書いた。
「セリナちゃん、スキルがすでにあるようだねえ」
紙を受け取ったマノがそう言った。
なんのことだか私には分からない。
「スキル?」
「登録をするとステータスが見えるようになるんだ。スキルとは、その人が持つ特別な力という感じだな」
ライオスが説明してくれた。
特別なもの、か。私にそれがすでにある。
何かした覚えはない。
「私のスキルってなんですか?」
「テイマーって、書いてあるねえ」
テイマーってなんだっただろうか。
動物を使役するみたいなのだったっけ。
それで声とか聞こえていたのかな。
「セリナちゃん、行きたいダンジョンは、あるかい?」
「もふもふが沢山出るところとかないですか⁈」
「ちょうどいいのが、あるね。掲示板に、貼ってあるよ」
掲示板の紙を指差してマノが言った。
私達は掲示板に貼られている紙を見る。
「ランクAと書いてあるんだが……」
「ライオスくんはSだから、大丈夫だろう?」
「セリナが……」
Sが最高ランクなのかな。
先程冒険者登録したばかりの私を気遣ってくれたのだと思う。
とはいえ、五階ごとにボスが出るというのは気になる。
「行ってみたい!」
私は勢いよく言った。
本当に行ってみたいという気持ちが伝わるように。
ライオスはため息をつく。
「セリナは言っても聞かないだろうからな。分かった。ヴォルフもいれば安全だしな」
「おいおい、本当に大丈夫かよ?」
「大丈夫だって!ね!」
私は親指を立てる。
根拠のない自信。けれど、なんとかなると思う。それに、なんだか行かなきゃならないような気がするのだ。そのダンジョンに。
女の勘ってやつかな。
「じゃあ、気をつけるんだよ。くれぐれもケガを、しないように」
マノの動きが急に速くなり、私達にビシッと指差しをしてきた。
気を抜くなということだろう。
気を抜いてしまえば、最悪の場合は……
そうならないための注意。しかと心に受け止めておこう。
「では、また」
お辞儀をしてギルドの外に出た。
そこからの行動は素早く済んだ。
回復薬や、剣などの装備を一通り揃え街から去った。
剣はあまり大きいものではなく、短剣にした。大きいと振り回すことができず不便だからだ。
持ちはしたけれど、使いたくはない。
ダンジョン内に出てくるのがなんだとしても、傷つけたくはないな。
「んじ、行くか〜」
ヴォルフが私を乗せて言った。
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