第12話 作業開始!

 まずは柵の構図的には……短くした木を一本ずつ立てていきたい。


「私が木をどうにかするから、ライオスはそれを一定の間隔で立ててくれるかな?」

「ああ。了解した」

「お願いね。あっ、土掘るのはヴォルフにやってもらって〜」

「なんでオレ⁈」


 ヴォルフのツッコミが素早く入った。


「ヴォルフがやった方が早いと思うんだよねえ」


 私は親指を立てて言う。

 こう言えばヴォルフは嫌がりながらでもやってくれるだろう。


「わーったよ!ライオス、やるぞ」

「ああ」

「少し待っててね〜すぐきり終わるから!」


 私はまた斧を持って作業をしに行った。


「わ、私はなにをすればいいの?」


 何かをしたそうにラビが聞いてきた。

 してもらうことか……なにかあったかな?


「あっ、木を支えてもらってもいい?」

「分かったわ。任せなさい!」


 ラビは胸をドンッと叩いた。

 そうして作業を始める。

 木を短くしたのが一つできた。

 長さを測ることはできないけれど、ひよこに合う高さにはなっている。


「ライオス達お願い!」


 短くしたのを渡す。


「ああ。どの辺がいいんだ?」


 そうだ、場所を考えていなかった。


『僕達はここがいいです!』


 ひよこはその場所に柵を立ててほしいと言ってまとまっている。

 カラフルな集まりだ。


「今そこにひよこがいるからそこにして〜」

「おう。セリも早くしろよ」

「はいはい!」


 ヴォルフはぶっきらぼうな言い方をする。

 けれど、頑張れって言ってくれているのだと思う。

 ということで、頑張りますか。

 

 私は改めて気合を入れた。

 そうして作業を再開する。

 ラビのおかげで作業がしやすい。


「ありがとう。ラビ」

「お礼はいいから次のしなさい!」

「はーい」


 ラビにまで言われてしまった。

 全部終わらせないと夜になってしまうからね。

 そこから私は作業速度をあげていく。

 できたのからライオスに渡していたけれど、間隔がちゃんとできているのかが気になり、時々指示も出した。

 

 もう少しかかりそうだ。

 伐採してきたのも残り少しだし。

 これを短くしたら終わりそうだな。


「とりゃ!」


 最後だと思い、声を出して力を込めた。

 

「これで終わり?」

「うん、そうだよ。ライオス、ヴォルフ、これお願い」


 最後のを渡した。

 それを受け取って立ててくれる。

 私はそれを見て、手をパンッと鳴らし


「よしっ、完成だー!」


 と言った。


『ここが僕達の場所……ありがとうございます。おかげで心配することなく過ごせそうです』


 ひよこ達に口々お礼を言われた。


「いいのいいの!作ろうって言い出したの私なんだし!」


 そうだ。私の我儘で作ったのだ。

 それなのにお礼を言われるのはなんだかむず痒い。

 っと、それより……


「ラビ、ヴォルフ、ライオスありがとう」


 私は三、人?に向けて言った。

 無事完成させることができたのはみんながいたからだ。

 私だけでは力が足りなかっただろうから。


「いいのよ。なんかさせてって言ったの私だもの」

「まあ、なんだかんだ穴掘るの楽しかったしな」

「役に立てたのなら良かった」


 それぞれ答えは違う。

 けれど、嫌々作業をしていたわけではなさそうだ。


『あの、みなさん。もう暗いですからここで休んでください。ライオスさんがおられるなら他の動物もあまりやってこないでしょうから』


 ひよこからそう提案された。


「ねえみんな、今日はここで休んでもいいかな?」


 みんな頷いた。いいということだ。


「じゃあ決まりね。あっ、ご飯どうしよう」


 結構動いたからお腹が空いている。


『僕たちが貯めていたきのみをどうぞ召し上がってください。ほんの少ししかないですが』


 ひよこはそう言いながら、きのみを私達の近くに持ってきてくれた。

 少ししかないと言っていたが、そんなことはなかった。


「こんなにいいの?」

「ええ、お礼の気持ちですので」

「ありがとう。いただくね」


 私はきのみを受け取った。


「みんなこれ食べよう。お礼にってくれたから」

「おーオレすっげえ腹減ってたんだよな」

「私もよ」


 やはり動くと疲れるのだろう。

 いっぱい食べてお腹がふくれるといいな。

 丸を作るように座り、真ん中にきのみを置く。

 みんなで少しずつ食べる。動いたあとに何かを食べると美味しい。

 パクパクと食べて一瞬でなくなった。


「ごちそうさまでした!」

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