ギフトの真意
「アレポ」
トマスがアレポに呼びかける。
「私は、人々が“ギフトマン”と呼ぶ存在だ、人々は私が災厄を呼ぶとか、勇者にプレゼントを贈るというが、そうではない、私は人々に“災厄がおこることを知らしめ、災厄を最小限にする”事が務めだ」
「でも、魔王に従って……」
「そうだ、私は魔王に従い続けてきた、だがある時、魔王の弱点を発見したのだ……あのドローンをみろ」
アレポは上を見上げる。
「あれが魔王の正体だ」
「??」
「私は……“大罪”をおかし、魔王の従者となった、だがその間に彼の変化を見届けてきたのだ、魔王は、今も世界を支配している、そういう事になっている、だがみろ、あのドローンを、あれは、魔王を投影しているにすぎない」
「でも……魔王は世界をずっと見ているって」
「そう、だがドローンと魔王との連携はすでに断たれた、その証拠に、私は幾度となく、あの“魔王”を打ち倒し、人々に噂をたたせた、“ギフトマン”と、しかし魔王は、いまだ私の正体をつかめていない、つまり魔王に何かがあり、ドローンはその姿を投影し、ただかつての彼の意向を反映しているにすぎない」
「そんな!!」
「だから、アレポ、きっとあいつを倒せばお前にこの村での居場所はなくなるだろう、しかし私なら、お前に力をかし、あの“魔王”を消し去ることが可能だ、やるか?アレポ」
アレポは、じっと考え込んだ。昔から冒険がしかたかった。しかし祖母は何かに気づき自分を止めようとした。だが、自分をかばったものの事はどうだ。パルシュ、彼の父、そうだ。自分の事より重要な事は、彼らをたすけなければ、それで自分の未来を失うとしても。アレポはトマスに応えた。
「やるわ」
ふと、トマスの背後にエリーが現れた。
「素直ないい子ね、トマス……」
アレポが天に手を伸ばす、そしてトマスが、その上からエリーが手をかす、すると、上空に白い魔力の玉が現れた。それは徐々に大きくなり、糸がおりかさなった束が球体をおおうように膨れ上がり、やがてそれは、繭となった。繭は強力に周囲の魔力を吸い、やがて、奇妙な奇声をあげた。
「キィイイイイアアアアアアア」
繭がやぶれる、人々は、そこに、伝説の生物“天使”の姿をみた。その天使は口をおおきくあけると、そこから光の柱が発生し、それは上空のドローンをめがけて発射された。ドローンは自衛機能をもっていたようで、周囲のドローンが柱にめがけてこちらもレーザー状の光を発射する。しかし、一切歯が立たず、何をおもったか、その周囲のドローン5,6器は、“魔王”ドローンの前で、丸い陣形を組んだ。そして、詠唱もなく、魔法陣が形成された。それは、ハイシルド、この世で最も強力なバリアをはる魔法陣だった。
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