燃える家
ルアンスとイベラは、アレポの家を訪ねた。誰もいないのを確認すると、やがて恐ろしい形相で、お互いをみつめ頷くと、村長がいると噂される崖上の隠れ家に急いだ。
夕闇、窓から忍び寄る。イベラとルアンス、イベラが魔法でガラスを融解させると、二人は中へ……寝室を探し忍び寄り、イベラが老人が寝ているのをみると、ルアンスにアイコンタクトをおくり、イベラが喉もとにナイフをつきたてた。すぐに老人の手首に手を当てて、脈を確認する。全くない。
イベラは思わず普通の声量で声をかけた。
「やったわ」
ふと、イベラの顔がこわばる。ルアンスがふりむくと後ろから村長が現れた。
「う……う」
ルアンスが胸元に手をやる、と、そこには、長い棒状のものがささっていた。それはぬきとられると、ルアンスは地面にたおれた。村長がそれを振りなおし、地面につきたてた、それは村長の杖だった。
「ルアンス!!」
「おぬしらより殺しはなれておる」
「どうして!!!」
「ふん……」
杖をたてて寝室の方を指さす。そこには、土でできた人形、ゴーレムが上半身を起こしてこっちをみているのだった。
イベラは、腹部に痛みを感じててを伸ばす。と、同時に背後に、今まで感じていなかった気配を感じた。そこには、マスクをつけた村長の一番の付き人がいた。バタリ……と倒れる。イベラは、死をさとって天をみていた。
「最後に言いたいことはあるか?」
と尋ねる村長
「殺しに慣れているって……どういう事?」
「わしの息子は……旅先で死んだことになっておるが、わしが殺したのだ、それを見たせがれは、悪人にに育ってしまった」
「そうか……やっぱり、ノースは初めから悪い人間じゃなかったのね、いつか立ち直ってくれると信じていたわ」
そういいのこして、イベラは力つきたのだった。
アレポが自宅にむかう。焦り、気がはやる。別にいい思い出などほとんどなかった家だが、それは、彼女の目の前で、赤い火をあげて燃えていた。
「……なんで、こんな……」
アレポの後をついていたトマスがいった。
「あの二人がやったんだね……ルアンスとイベラ」
「二人はどこに……」
きっとにらみつけるとトマスはいった。
「たった今、力尽きたようだよ」
やがて、夜の闇がやってくる、それとともに村の周囲に大勢の人影があらわれた。獣の耳や手足をもちながら、二足で歩く、異形の影たちの姿が。
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