儀式

ノースが叫んだ。

「おい、俺はお前たちの救世主か!!」

「おおおお!!」

 たくさんの若者が叫ぶ。

「俺が帰ってきたとき、俺がやつら、パルシュやアレポに殺されたといったとき、死から読みがえったといったとき、村人たちはどうした!!」

「無視をした!!」

「信じなかった!」

「彼らを擁護した!」

「そうだ、なぜだと思う?それは奴らが隠し事をしているからだ、この村は……奇才によって神を封じてているというが、その神とやらを見たものはいるか!」

「うおおお」

「いねええ」

 村長が必死な顔になってノースに呼びかける。

「やめろ!!それだけは、お前はここの古い風習をしらない“奴ら”の本当の恐怖を、全員犠牲になるぞ、お前はまだ若くわからないだけだ、悪い事はいわない、バカな事をするな」

「パルシュの親が犠牲になったときもそうだった、お前たちも、パルシュも、何かおかしい、神が力をもつっていうんなら、力で報復すればいいだけさ」

 ノースは腰から刀をぬいて、それをなめた。そして一変に振り下ろす。

「グメエエエエエー!!!」

 その一撃が、家畜のヤギの腹部を引き裂いた。そして彼はつづけた。

「ルメラグメルラルメラグメルラ……」

「やめ……神よびの言葉を……」

 村長が止めるのも聞かず続けるノース。同じ呪文を唱えていると、なぜか周囲に黒霧がかかっていく。

「これは……」

「人身御供の儀式のときに、見たことがある霧だ」

「ああ、あの山の天辺でいつも漂っている霧だ」

 そうやって若者たちは裏山を指さした。


 ふと、牢屋の中にいる二人、その牢屋の重い入り口が開いた。明かりが差し込んでくる、解放されるのか、その希望は絶望に変わった、にやにやとしたルアンスが、二人の牢屋の前にたつといった。

「これで、今生の別れというやつだ、短い人生だったな」

 諦めて下をむくパルシュ

「いいんだ……もともと、俺が冒険者なんて目指したのが悪かった」

 ルアンスがてをかける、そして牢の扉をひらいた。そこで違和感にきづいた。

「いや!!」

 開いた扉は隣の……アレポの部屋だった。

「おい、どういう事だ!!なんで!!」

「ふん、お前がどうとかは関係ないんだ、初めから、最初から……こうなる手はずっだった、お前が……あの“ギフトマン”を呼んでから、すべては順調に進みだしたんだ」

「いったいどういう」

「パルシュ……」

 連れていかれる振り返りざま、アレポはパルシュをふりむいた、助けを求めている顔だった。

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