三つの言葉で始まる物語
すいれん
『生クリーム』『唐揚げ』『パフェ』
今日は弟の誕生日。なので昼から二人で焼肉食べ放題に来ている。なのに、そのはずなのに、
「お待たせしましたニャ」
スピーカーから可愛らしい声を流しながら、キュートなロボットが持ってきたのは、生クリームいっぱいのケーキとギッタギタの唐揚げ。
「…なぁ弟よ。ここは焼肉屋だよな?」
「ん?そうだけど?」
そう言いながら弟はケーキと唐揚げを交互に食べている。タッチパネル式で先に注文させたら、まさかこんな事になろうとは。
「いや焼肉食べ放題なんだから牛肉食えよ、牛肉」
「でも兄ちゃん。この食い合わせめっちゃいいよ」
「デブみたいな食事しやがって」
そう言いながら弟を見る。身長は180センチぐらいなのに、体重は65キロあるかないかというスラッとした見た目は俺とは全然似てなく、身長だけ見たら、165センチの俺の方が弟に見えるかもしれない。しかも顔も整っており、弟の友人に聞いたら弟のファンクラブがあるらしい。とてもずるい、じゃなくてけしからんものだ。
「全くそれでなんで体型保てるんだよ」
「ふふん。部活で運動してるからね。兄ちゃんもやればいいのに」
「俺は運動するのめんどくさいし」
「兄ちゃんだって痩せればモテるのに」
「いいんだよ別に俺はモテなくたって」
「まぁ兄ちゃん今でもかっこいいしね」
こうゆう時だけ調子いい事言いやがって。後でコンビニでアイス買ってやろう。
「お待たせしてしたニャ」
またさっきのロボットがやって来て、自分で取ってくれと催促してくる。それを俺は自分の注文したものを隠すようにササッと皿を寄せた。だがそんな行動はただの徒労に終わったようだ。
「…兄ちゃん」
「うるせぇ」
弟は俺の手元を哀れんだ目で見てくる。そこにあるのは猫を模したかわいいアイスが乗っかったパフェとギッタギタの牛カルビ。
「血は争えないね」
「うるせぇ」
そう言いながら俺はネコちゃんアイスを避けながらパフェを口にした。
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