第81話 勝利

老兵を倒した後入り口から中に侵入してみたが、どうやらここにはかなりの規模の結界が貼られている様だった。まぁ名前は忘れたがあの大魔法を発動した存在が倒れて、都市中の魔法使いや神官に声を掛けて魔力譲渡をしていると聞いたからそれを害す存在からその娘を守るためだろうと予測をつけて歩き出す。


そうして歩いていると一人の魔法使いが居た。どうやら警戒のための見回りらしいまぁ観察を発動した結果は、こいつはまぁ魔刀を使えばすぐに終るだろうという程度の強さしかなかった。だが、この先どんな戦闘が待っているかもわからないから取り合えず隠密と奇襲で、格闘をメインで相手を倒す事にした。


「じゃあな名も知らぬ魔法使いよ」


そう呟きながら戦闘を終了して、また歩き出すが、と言うかこの館には都市中の魔法使いや神官が居ると言う割には、歩いている人数はかなり少ない気がする。そう疑問に思いながらも部屋を一つ一つ確認してみると、とある部屋の中に大勢の魔法使いや神官が倒れていた。


直ぐに状態の鑑定に移ると、どうやら負傷や損傷などは無く魔力が枯渇した事が原因で、失神している様だった。と言うかこれだけの魔法使いや神官の魔力を全部合わせたら私は軽く超える量の魔力がある筈なのに未だに姿を見せないのは、それほど大魔法の魔力消費が多いのかと思いながらとりあえずこいつらの部屋には結界を張って、もしも目が覚めてもこちらに来ないようにしてから探索を続ける。


それからも暫く探索を続けたら一際豪勢な扉が目に飛び込んできて、多分ここが目当ての部屋だなと思いながら扉を開けるそうすると...。


「あら待っていましたよ名も知らぬ敵さん」


「ほう私の事を知っているのか女だがその魔力で何が出来るのだ?」


私が入ってから直ぐに待っていたと発言するのは、腰まで届く金髪の髪を持って、垂れ目でおっとりとした雰囲気を出しながらもこちらをにらみつけて警戒していると言う何ともアンバランスな存在だった。


「私の名前は...」


「いや必要ないお前程度に割く脳の容量は存在しない。それはそうとあの地下の迷宮に入るためのカギを渡してもらおう」


「あら酷いのねそれと迷宮へのカギ...あぁ領主の証ねそれなら私の権限一つで開ける事が出来るわそれに私が持っている代行証を持っていれば中に入る事も出来るわ」


「ほうありがたいなだが何故お前にとって都合の悪い事まで喋る?黙っていた方が身のためだろうそれに喋る必要性は無い筈だ。」


「確かにそうねだけれども貴方は私を殺す例えカギが空いていたとしても殺すでしょう?」


「まぁ私の場合は衛兵を殺しここにくるまで老兵と魔法使いを一匹づつ処理したからな」


「それに魔力が戻っているのなら話は別ですけど今の私にそんな力は無いですからそれもあって殺すのでしょう」


「あの魔法をもう一度使われるかしたら行かないからないもしも迷宮を支配したとしてもお前を殺せなければまた奪われる可能性もある曲がりなりにも迷宮を支配していた相手だ。ここ最近迷宮を支配した私よりもお前の方が詳しいのだろう。」


「そうですか、と言うよりもずいぶん長くしゃべりましたね。直ぐに殺されると思いましたよ」


「まぁ気分が乗ったからだ。それはそうとさらばだ女名も知らぬ名を知る必要も無いただの女よ」


「えぇ私はきっと貴方の頭にその存在だけは残るだけの敵として名前を呼ばれることも無いのでしょうね」


私が首元に噛みついて吸血しているさなかそう女は言いながら私の腕の中で息絶えていく。ただの敵Aとして、あの魔法は驚異だったが、あの魔法を使えなく尚且つ魔力が無いのであればその存在に意味などないのだから。


《水の都市アーナム領主代行証を取得しました》


それから今までで一番早いと思われる程に全力疾走をして、迷宮の地下に行き領主代行証を見せると扉が大きな音を立てながら開いた。中は本当にガランとしていて、どうやら魔物の類は一切いないらしいまぁ嬉しい反面つまらないと言う感情が湧き出るのを我慢しながら目の前にあった迷宮核を鑑定してみる


名称 小迷宮核

分類 神具

品質 神

説明 神が直接作った迷宮を支配し操る事が出来る唯一の神具でありこの小迷宮核は水神オプルの力が込められている


「これは...神違いか」


そう落胆しながら触れて、この迷宮の支配者となったが、途端に迷宮から作られている聖浄の水の生成が停止して水色に輝く迷宮核が、黒く染まった。それはまるで、大迷宮核を思い起こさせる色だった。


そうして確認してみると、どうやらこれは大迷宮核の力に汚染させられて水神オプルの物から悪逆天神の物へとなったそうだ。それと同時にこの下水道を維持するための魔力以外の全ての魔力は悪逆天神の回復に充てられた。


それと同時に本命の大迷宮核の悪逆天神の回復に充てられている魔力が少し減ったのを感じる。どうやらここの迷宮核が負担を軽減したようだ。


それから迷宮には、あんまり手を出さずにここへの侵入だけを禁じて後は何も弄らなかった。なにせこの迷宮の上には町がある。幾ら迷宮が元の場所と一応は別空間と言う事になっていようともこの場所だけは例外だ。元々小迷宮核と言う事で、少ない魔力生成量を増やすために異界化をあえてしなくなり現実の物とした。


もしもこれを消去するとなった場合に町に与える損害は、数えるのも億劫な程になるだろうと確信していた。いくら私が人を平気で殺す事が出来る存在でも今の私にとって、町の一つを相手取って勝てるかと言われればNOと答えるだろう。


そう思いながら取り合えず町に潜入した。もうあれから時間が1カ月近く経って、衛兵殺しの事は忘れられて、それで今日領主の娘が殺されたとなると、私の話題は無くなるだろうと思い町に入っていった。

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