おっさん転移者、我が道を行く。

あに

第1話 知らない場所


 42歳独身腹も出てきた。

 会社に勤めて22年、パッとしない毎日を送っている。

 楽しみはアニメを見ることくらいで、スマホでゲームなんかもすることは少ないかな、車も持っていない何の面白みのない男です。


 なぜこんな自己紹介をしているかというと、何故か俺は異世界転移というものをしてしまったようだ。


 青い空に見える限り芝生で後ろには壁、モンスターのようなものが闊歩している。

「さて、どうしたもんかな」

 なぜか鎧と剣を腰に下げている。

 これで戦えと?無理だろ?こんなおっさんに、と思っているとツノのついたウサギが俺の方を見つめている。

 と思ったらツノで攻撃してきた。

「怖っ!」

 と、とりあえず剣をなんとか抜いて臨戦体制に入るとまた飛んで攻撃してきたので避けて斬る。“ぽん”といなくなったと思ったら毛皮とツノが落ちていた。

 ドロップ品かな?

 とりあえず拾っておく。腰のバックに入れようとしたら吸い込まれた。バックの中に手を突っ込んでみると手が吸い込まれて中に何があるかわかる。毛皮とツノとポーションというやつが3本とパンが三つにお金が少々。

 これが俗にいうマジックバックか?

 俺もラノベで読んだことしかなかったからな。

 あっちから猛スピードで茶色いものが走ってきているがあれもしかして俺には突進してこようとしてるのか?剣を構えて見るとどうやらそのようだな!

 真っ直ぐなら避けて後ろから斬ると。また“ポン”とドロップ品になった。今度は毛皮と肉と牙だ。マジックバックに入れておく。

「なんだこれは、夢か?」


 一時間近くウサギとイノシシに突撃されながらもなんとか勝っている。腹が減ったのでパンを取り出すと硬いパンで、なかなか食いごたえがあるな。

 

 は、腹が痛い。野糞か?ここで野糞するのか?と、とりあえず穴掘って…


 ふう、スッキリしたが、42になっても野糞とは情けない。

 いや、これは夢だ…としたらさっきの爽快感はやばいな!夢なら早く覚めてくれ!


 覚めない夢の中、イノシシとウサギを倒して鞄に詰める作業…どんな夢だよ。

 とりあえずこの壁沿いに進むか。


「おお、人がいる」

 しかし、猫耳だとか岩男だとか、コスプレ?ハロウィンはまだ先だしなぁ。

 まぁ、とりあえず並ぶか。

 前の人が岩男だったので何をやってるかわからないな。

「はい、冒険者証か1シルバーです」

「はい」

 バックの中にあった。

「はい、通っていいですよ」

「あ、はい」

 街の中に入るとここが大通りなんだろうな。んで、細い路地が点々とあるが大通りを歩けば何かあるだろ?


 冒険者ギルド?ここの会員証があれば門からすぐに入れるらしいから作っとくかぁ。


 ギルドに入って受付に会員証を作りたいと言うと水晶に手を置くように言われたので置く、会員証ができたみたいで名前は下の名前のカイトとしか書いておらず、Fというじが書かれていた。説明は簡潔に言えばランクがありFからAまで。で依頼を受けて行くとランクが上がるそうだ。

 Fランクの依頼を受ける。溝掃除だった。

 腰に来たが、やればなれるもんだな。

 依頼人にハンコをもらい受付に提出して報酬をもらう。30ブロンズ、たったこんだけなんだな?

 そういえば、ここに来る前に狩ったドロップ品をどこで売ろうか?

 ここで売れるらしいので出して行くと受付の顔が青くなった。ギルド長に来てもらったらしいがゴツいおっさん、俺と同じくらいか。

「お前が狩ったのか?」

「他に誰が?」

「そうだよな。なら買取だ」

 受付のお姉さんが買取金額を出してくれて3ゴールド50シルバーになった。まぁまぁの稼ぎなのか?

 そしてFランクからCランクにまで上がった。これだけ狩れるならこれくらいらしい。

 夕暮れ時になっていたので宿を聞いて見ると錆猫の居眠り亭があいということで、そこに行くと女将が一泊朝飯付きで4シルバーらしいので2泊たのむことにする。

 風呂はないとのことなのでお湯をもらい体を拭くだけらしい。それならとお湯をもらった。50ブロンズに手拭いもないというと五十ブロンズだ、計1シルバー飛んでった。

 お湯で拭くだけでもいい気持ちになれるもんだなと思い頭もついでに洗ってお湯は窓から捨てるらしいので捨てる。桶を返しに行くと良い匂いに釣られて夕飯1シルバーを払いスタミナ定食を頼む。飲み物がエールだった。ぬるいエールを飲みながらスタミナ定食を食べる。

「美味いなぁ」

 と独り言が出たら、

「美味いだろ!」

 と女将に返された。

 こういうのも良いもんだと思うがなかなか覚めない夢だな。

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