ビートルズの「ブラックバード」

 私は先週まで、ブラックバードが和名「クロウタドリ」で、姿も歌声もかわいいい鳥なのだとは知らなかった。

 カクヨムに「オオカミと犬の間」という真珠のようなエッセイ集がある。柊圭介さんというパリに住んでおられる方の作品で、彼はとてもすてきな文章を書かれる。その中の「クロウタドリ」のエッセイは、水彩画のような印象。きっと春の爽やかな日に、この小さな黒い鳥を見て、とてもよい印象を持たれたのだと思う。

 そこに「クロウタドリ」が「ブラックバード」だと書いてあったのを読んで、驚いた。

 

 私はブラックバードはカラスのような人から嫌われる鳥で、かすれた声で鳴くのかと思っていたから。

 私は実際にはブラックバードを見たことがない(見たとしても、気がついていない)。私にとってブラックバードと言えば、ビートルズのポールが歌うブラックバードである。


 ビートルズのその歌は、

 

 Blackbird singing in the dead of night

 その折れた翼で、くぼんだ目で、飛ぼうとしている

 起きあがれ、飛べ、全力で


 大体そんな歌詞である。


 私は初めて聴いたのは、ずうっと昔、フリーウェイの車の中。

 歌詞がよく聴き取れず、

「今、Dead of night と言ったよね」

 と同乗者に尋ねたのを覚えている。


 この歌を調べてみると、ポールが黒人女性のことを歌ったものだということだったので、なるほどと思った。

 気になったのは、どの説明にも、「この歌はポールがひとりで作詞、作曲歌っているが、ジョン・レノンの名前がはいっている」と書いてあったことだった。

「ミッシェル」はジョンとの共作で、「イエスタデー」はポールだけの作、そして「ブラックバード」はポールの作だけれど、ジョンの名前がはいっている。

 おもしろい、なぜだろうと思った。


 私は杉下左京さん(相棒)に似ていて、「小さいことが気になるタイプ」というか、小さなことの謎を考えるのが好き。杉下さんは難問を解き、事件を解決していくが、この九月はただなぜだろうとあれこれ考えるだけで、何かの役にたっているということはない。


 柊さんのエッセイを読んだ数日後、ビートルズがベスト盤を発表するというニュースがあった。ブラックバートがはいっているのかと調べてみたら、青盤のCD2にはいていた。

 代表作なのかぁ。

 そう思って、もう一度、確認のためググってみたら、いまだに「レノン=マッカートニー名義となっているが、ポール・マッカートニーによって書かれた楽曲で、演奏もマッカートニーのみとなっている」と書いてあった。


 これは私の考えなのだが、

 この「ブラックバード」の歌詞では、

「Blackbird singing in the dead of night」

のDead of Nightのところが、

Black でもDarkでもなくて、「Dead of Night」というところが強烈だと思う。


 ポールは最初、「Dark of night 」と書いたのではないか。そこにジョンがやって来て、そこは「Dead」がいいよと言ったのではないだろうか。

 歌詞の中のたったひとつの言葉だけれど、ここにDeadがあるとないとでは、全くパンチが違う。

 というわけで、この歌の作者として、ジョンの名前がはいっているのだと、私は勝手に思う。自信はない。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る