第37話新コンサートマスター潮崎聡美です。瞳君リポートをします。

新コンサートマスターの潮崎聡美と申します。3年生です。

(以前の旧音楽部では、嫌われ者の佐々木がコンマスでした)

(もっと嫌われ者の指揮者石川先生の腰ぎんちゃくでしたが、彼の失脚で音楽部全員から追放されました)


さて、瞳君は、(翔太君の怪我のため)指揮者をしたり、ピアノコンチェルトでソリストをしたり、トランペットを吹いたりで、一人三役で忙しそうです。

みんなから「三刀流?」と心配されていますが、里香ちゃんが、しっかりケアをしています。

(里香ちゃんに、任せました)(瞳君も、里香ちゃんには、メロメロのようですし)


瞳君は、指揮も上手ですが、やはりピアノは別格です。

(本当は、里香ちゃんの隣でトランペットを吹きたいと、ぼやいています)

(里香ちゃんが、うらやましいです)(こんな可愛い子に、慕われて)


モーツアルトのピアノ第26番の指揮は、当面、浜野佳子先生が。振ってくれることになりました。

(瞳君が指揮者兼ソリストでは、負担が大き過ぎること)

(瞳君のピアノレッスンも兼ねているとのことです)


その瞳君のモーツァルトのピアノコンチェルトの解釈は、同じモーツァルトのフィガロとは違います。

とにかく、「典雅」をイメージしているようです。

弾けても、弾け過ぎない。

あくまでも、上品に貴族的に、の感じです。


浜野先生も、瞳君のイメージに合わせて指示を出します。

「あまり、ガチャガチャした音は控えてね」

「音は、キチッとリズムにはめて、広がり過ぎないほうが、上品」

「うん、それくらいかな」


私も、コンサートマスターとして、その意見には賛成です。

演奏会の流れとしても、フィガロの結婚で弾け気味、ピアノコンチェルトは典雅に、最後のブラームスは深遠に始まって、高らかにフィナーレがいい感じですから。


しかし・・・瞳君のピアノソロ(コンチェルト)は、聴き惚れます。

一音一音が、甘い感じで、しかもリズムを崩さない。

歌心があって、音楽を「つかまえて、操っている」そんな感じです。

すごい、才能だなと、改めて感心します。

(こんな才能を持った子を、見抜けもしないで、謝罪させた石川先生が、つくづく嫌になります)

(下手をすれば、里香ちゃんがリーダーシップを取って、以前の音楽部をつぶさなければ、瞳君の音楽もつぶれたかもしれない)

(それを思うと、怖いし、私も罪悪感いっぱいです)

(だって、私も瞳君の謝罪を止められなかった一人ですから)


悔しいことは、もう一つあります。

私が3年生で、1年生の瞳君とは、お付き合いする期間が少ないこと。

仕方ないと言えば、そうだけれど、悔しいなあ。

彼女にはなれない(里香ちゃんに任せた!から)けれど、もっと一緒に長く音楽をしたい。

せめて、1年間でもいいから、(翔太君には悪いけれどトランペットに戻ってもらって)、瞳君の指揮で、コンマスをしたい。(里香ちゃんに怒られそう・・・)


でも、やはり、本音を言います。

瞳君、可愛いです。

汗かいたら、拭いてあげたい。

(もちろん、私のハンカチで)


足がつったら、揉んであげようかな。

撫でたら、どんな顔をするのかな。

(恥ずかしそうな顔も見たい!)


他の3年生女子も言っていました。

「瞳君って、お持ち帰りして、いじりたいよね」

「私は、抱いて眠りたい、マジにお人形さん」

「下手なアイドルより、いい感じ」

「甘さと清潔で言えば・・・甘さが勝つ」

「合宿で・・・誘惑するかな」

「里香ちゃんから、奪い取るのも一興」

・・・


何やら、危険な妄想が生じたので、私のリポートは、これにて終了します。

(ゆっくり瞳君を愛でたいし)

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