VS黒龍王?

 高速で人形を走らせてしばらくするとようやく巨大な魔力の反応を発見する。

 場所は断崖絶壁のそばである。


 ただし、襲ってこようとしている様子はない。


 どうやら俺たちはこの地におびき寄せられたようだった。



「なに、この力……」



 ルナが恐怖のあまり青ざめていた。

 それほどの量の魔力が断崖絶壁の側から発せられているのだ。



「さすが黒龍王だな。想像以上の力を持っているな」



 いまだ姿が見えない状態でこれなのだ。

 実際に対面したら果たしてどれほどの圧を放ってくるのだろうか?


 ただ、そんな死に急ぐようなマネをする俺ではない。



「ルナ、すぐにこの場を離れることはできるか?」

「大丈夫」

「なら頼――」



 全てを言いきる前に断崖絶壁から声が響いてくる。



「この気配は忌々しい人間か。我に呪いを埋め付けてきた――」



 どうやら黒龍王が俺たちに話しかけてきているようだった。



「呪いも何もお前が襲いかかってきたからきたのだが?」

「なぜ我が矮小な人ごときを襲わねばならん。そんな時間の無駄をするはずなかろう」



 どういうことだ?

 確かに兵士が言った方向に黒龍王がいた。

 でもこいつは襲いかかってきていないという。


 たしかに敵である黒龍王のいうことを真に受けるのもおかしな話ではあるが、この一件に関してはまるで嘘を言っているようには見えなかった。


 そうなると誰かがこの黒龍王が邪魔になって俺たちに襲わせようとした、と考えるのが妥当なところだろう。



「わかった。俺たちはもう行く」

「我に手を出してきてただで済むはずなかろう。覚悟しろ」



 突然断崖絶壁で魔力が高圧縮され、それがブレスとして吐き出される。

 白く眩い光のブレスに思わず目を閉じそうになる。


 ただ、あれをまともに受けてはただじゃ済まない。


 俺も慌てて魔力を前へと集め、黒の魔力障壁を作り出していた。



「ほう、人の分際でこの我の攻撃を防ぐか」

「ちっ、想像以上の強さだ。俺一人じゃ防戦一方になりそうだな」



 ただ、ファーストたちに連絡を取ろうにもこの場から去る隙をこの黒龍王が与えてくれるとも思えない。


 軽くフィーに視線を送ると彼女は頷く。


 黒龍王の隙を作ってなんとかフィーに増援を連れてきて貰う。

 もはやこれしか勝ち目はないように思えた。



「全く、なんでこんなに強いやつばっかりしかいないんだよ! 負けイベントはもうこりごりだ」



 本来負けイベントであるファースト戦もそうだし、本来戦わなくて良い相手ばかり戦わされている気がする。


 手に魔力を込め、光のブレスに対抗すべく闇弾を連発する。



 俺と黒龍王の魔力は拮抗しているようで、魔法だけでは勝負がつかなさそうだった。ただ、こうなってくると大きな問題が生まれてくる。


 魔力で勝てないなら力で対抗してくると想像ができる。

 だからこそファーストやフリッツと協力して戦いたかったのだ。


 ただ、なぜか一向に黒龍王が直接姿を現さない。


 これは何か理由があるのだろうか?

 もしかするとそこにこの状況を打開する術があるのかもしれない。


 でも、俺が黒龍王の攻撃を防がなければあの攻撃は後ろにいるフィーたちに当たることになる。


 結局耐えるしかないだろう。

 そう思ったのだが、そんなときに俺の隣にルナが立っていた。



「一発くらいなら耐えられる」

「フィーは躱せるの」

「わ、私は……、私は……た、耐えます!」



 いや、さすがにエルゥがあの攻撃を耐えるのは厳しいだろ。

 そう思いながらも僅かばかりのチャンスを俺に与えようとしてくれる三人。


 そのことに感謝しながら言う。



「済まない。一発だけ耐えてくれ。あとは俺に任せてくれたら良いから」

「任せてなの」



 その言葉を聞いた瞬間に俺は飛行魔法を使い、空に飛び上がったあとブレスが飛んできた方へと高速で移動する。

 その間に一発ブレスが飛んでいったようだが、それは幸いなことにルナが巨大人形を複数壁にすることでなんとか防ぐことに成功していた。



 もう大丈夫だ、と感じた俺はそのまま巨大な魔力の下へと急ぐ。


 するとそこにいたのは苦しそうに横たわっている巨大な真っ白の龍だった。



「……黒龍王なのに白い?」

「だ、誰が黒龍王じゃ!? あんな蛇と一緒にするな!」



 白の黒龍王は思わず声を大にして叫んでくる。

 ただすぐに苦しそうに呻き出していた。



「忌々しい人間め。我にこんな呪いを植え付けおって……」



 これ幸いと俺は黒龍王を鑑定してみることにした。



「お、お主、何をする!? ま、まさか目から光線を!?」



 黒龍王が慌ててその場から離れようとしているが、それを気にせずにそのまま鑑定する。



名前:ルミエール・ホワイトドラゴン

性別:♀  年齢:215歳 種族:白龍族

職業:白龍神

レベル:100

HP:7568/9213(SS)

MP:1242/9999(SS)

攻撃:218(SS)

防御:163(S)

敏捷:142(S)

魔力:324(SS)

【スキル】

吐息:10(S) 念話:10(S) 人化:10(EX) 限界突破:10(EX) etc 

【魔法】

火:11(S) 光:15(SS)

【状態】

食べ過ぎ



 状態以上の表記がでることを初めて知った。

 ずっと使っていて表示されるものが増えたのかもしれない。


 ただ、呪いの文字は一切なく、黒龍王が苦しんでいる原因は食べ過ぎのようだった。



「って、お前が原因だろ!?」



 思わず俺は黒龍王の頭に巨大な岩を落とすのだった――。

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