第40話
無事に全員揃い、四人で夜の神社に繰り出す。ここの神社は結構広く、多くの出店が立ち並んでいた。人もかなり多く、油断するとはぐれてしまいそうだ。
みづきの要望により、まずはフライドポテトを買いに行くことにした。幸いフライドポテトの店はすぐそばにあり、列は長いがすぐに並ぶことができた。
「おっちゃん!ポテト中くらいの1つ!」
「あいよっ!」
みづきと店のおじさんは知り合いのようで仲良さげに話していた。
そうしてしばらく出店を周った私達は人気の少なくなっている場所へ移動し、そこらへんのに腰をかけた。人混みも相まっていつもよりも胃が小さく、みづきを除いたインドアな私達はすっかりお腹いっぱいになっていた。
「んぅ〜!一通りは周れたし、結構満足だわ!」
「花火って8時からだっけ?あと30分か……」
「え〜?そんなにあるんだったら唐揚げ買いに行きたいなぁ」
おいおい、まだこのやんちゃ女は食べる気なのか……。よくそんなに食べて太らないよなぁ、と素直に感心する。
「あ、なら私も行きたいな。お母さんが唐揚げ好きだからさ」
「お!じゃあひなちと2人でちゃちゃっと行ってくら!」
正直、みづきが何をしでかすかわかったもんじゃないので、ひなと2人きりにしたくはない。だが、隣に座る杏があまりにも限界そうな顔をしていたので仕方なく送り出す。
「杏、大丈夫そ?」
「あ、あはは……浴衣なんて慣れないんでやっぱりちょっと疲れちゃいましたね。こりゃあ明日は筋肉痛です!」
明るく振る舞う杏だが目が完全に笑っていない。杏は結構体力はある方なのでただただ歩き疲れというより、人並みに酔っているのだろう。
「ところで良かったんですか?みづきさんとひなちゃんを2人きりだなんて…」
「うーん…まぁ心配なところもあるけどね。ただみづきは抜け駆けとかそういう集団から離れて楽しむとか苦手というか嫌いだし、大丈夫だと思うよ」
みづきは案外仲間はずれとか集団から逸れて楽しみを独占するとかいうことが苦手だ。校外研修の際にも班から抜け出して楽しむカップルに毒を吐いていた。
「へぇ〜…なんていうか意外、ですね」
「でしょ?頭のてっぺんからつま先まで校則違反だらけなんだけどね」
「あはは…そ、それもギャップですよね…!」
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