第18話
今日は休日。ひなと会う予定はなかった。昨日までは。
今日はモデルの仕事もないため朝からひなの家を訪ねていた。ひなの両親は共働きで今日も朝から働きに出ているようだ。
ピンポーン
ひなの家の呼び鈴を鳴らすと家の中からトタトタと軽い足音が聞こえてくる。
「あやちゃん!おはよう!今日は急でごめんね。予定とかなかった?」
「うん、おはよう。今日は暇だったし、ちょうどひなと会いたいなって思ってたところだから良かったよ」
ひなから誘われることはあまりなかったので気分が悪いのかと不安に思っていたが、相変わらず元気そうで良かった。
家に上がり、ひなの部屋へと招かれる。ひなの家の柴犬、ももたは私をあまり歓迎していないようでそっぽを向かれた。
「今日はどうしたの?ひなから誘うなんて珍しいじゃん」
「えっとね…最近、あやちゃんお仕事とかで忙しいでしょ?だから今日は癒やしてあげようと思って…」
ひなは恥ずかしそうにゴニョゴニョと言った。しきりにプレゼントした髪留めを触っており、顔がしだいに赤くなっていくひなに息が漏れる。
ひなは少しぴくっと動くと眼をつぶって静止する。
そんなひなを思い切り抱きしめた。抱きしめるとひなの暖かな体温と柔らかい花の匂いが広がった。
ひなの体温はみるみるうちに高くなっていき今に爆発してしまうのではないかと思ってしまう。
ワンッ
ひなを堪能しているといつの間にか来ていたももたに威嚇される。
私がひなをいじめていると思ったみたいだ。
仕方なくひなから離れるとももたは見せびらかすようにひなの膝の上に乗った。
「あはは…ももたったら嫉妬しちゃったのかな?」
「……ひなは私のものだぞー」
犬に嫉妬するなんて…と思いつつもももたの頬を撫でる。もちもちふわふわで触り心地がいい。
元々身体に1ミリも触れさせてくれなかったためこうして頬を撫でられるだけ進歩したものだ。
ひなは嫉妬し、威嚇し合う私たちを見て終始ニコニコとしていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます