第15話

 ひなとのお泊りから1ヶ月と数週間がすぎ、わたしもついに正式にモデルデビューする運びとなった。来週発売の雑誌の一部に載るようですでに献本を数冊もらっている。

 さほど遠くもない母の実家に数冊送り、手元には2冊残っている。どうせ残ってても困るだけなので1冊ひなにあげようと思い、残しておいたのだ。


 ひなに私が載った雑誌が発売されることと、献本をあげる由をLIMEで伝える。ひなはすぐに感謝の意を返信してくれる。ひなのこういうマメなところ、大好きだ。


◇◇◇


 先週の金曜日は雑誌の発売日だった。献本をあげたにも関わらず、ひなは発売された雑誌を購入しており、『あれは保存用だから!』などよくわからないことを言っていた。


 純恋さん曰く『売上は上々だよ!SNSで宣伝したときもちょいバズしてた!』と言っており、悪くはないようだ。

 SNSはやったことがなかったが純恋さんと紫苑がやるべきだと言ってくるため始めることにした。


 まだ始めて2日ほどだが純恋さんの紹介もあってフォロワーも順調に増えている。まだまだ不慣れなため誤字脱字などのミスもあるが純恋さん曰く『それはギャップ萌えになるからいいんだよ!』らしい。


 ひなにも教えてあげるとひなもSNSを初めてみるようなので少し嬉しくなる。ひなにもっと惚れてもらい、嫉妬してもらうには人気であればあるほど都合がいい。


 さっそく未ログインのまま私のアカウントを見ているひなの姿を見つつ、ひそかに気合を入れ直した。


◇◇◇


 学校につき、教室に入ると教室には2,3人しかいなかった。私達はいつも早めにきているのでだいたいこんなものだ。

 しばらくすると朝練終わりの生徒や集団で登校してくる生徒が増える。少しづつ教室が騒がしくなっていくが、今日はなんだかいつもより騒がしいなと思っていると1人の女子が話しかけてきた。


「あ、あの!田代さんってnyanbowのモデルの綾城さんだったりする?」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る