第12話
今日は三連休の最終日、月曜日だ。ひなと過ごした2日間はとても充実していたが、さすがに3日間も一緒にはいれない。
今日は西口姉妹との打ち合わせの日だ。未だにモデルになるという実感はなく、今だって信じきれていない。
うちの親は放任主義なのか話してもやりたけりゃやればいいんじゃない?とどこ吹く風だ。
私にモデルなんて務まるのか、と自問自答していると目の前に1台の白い車が停まる。
「おはよう!あなたが田代さんだね!私は
車の窓が開くと、そんな元気な声が聞こえてきた。明るい茶髪をポニーテールにした20そこらの女性が、西口紫苑の姉なのだろう。
軽く挨拶をすると車に乗り込み、西口姉妹のスタジオへと向かう。
「結構急だったけどごめんね。写真を見て一目惚れしちゃってさ。やっぱり実物は写真よりもきれいだね」
純恋さんはまるで口説くかのような口調で言ってくる。
「いえ…。ていうか、私で良かったんですか?私作り笑顔とかそんな得意じゃないんですけど…」
「いやいや!それで良いんだよ。クールで少しミステリアスな大人びた女性!それが今後の君の売り文句だ!」
難色を示す私に対して純恋さんははっきりと言い放つ。というか私の売り文句はほんとにそれで良いのだろうか?
モデルと言えばある程度世渡りがうまくないと生きていけない世界だと思うのだが…。
そうこうしているうちに、目的地についたようだ。
純恋さんの仕事場兼スタジオだ。入ってみるとイメージしていたよりもシンプルな内装でスッキリとしていた。
「さあさあ、まずは採寸だよ!脱いでくれたまえ!」
「もう!お姉ちゃん、その言い方は語弊があるよ!…えっと、こっちの服に着替えてくれればいいから…」
思い切った言い方をする純恋さんに、今まで影が薄かった紫苑がツッコむ。紫苑の指差す方には薄めの下着のようなものがあった。
人前で裸になるのは流石に抵抗があるが、体操着みたいなものなら問題はない。
さっそく着替えて、採寸へと挑む。ひなに惚れてもらうためにボディメイクはちゃんとしてきたほうなので測られることに対する恥ずかしさはあまりない。
しかし、このときの私は採寸というものが如何にセンシティブなものかを知らなかった。
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