第11話
朝、起きると横には既にひなはいなかった。
眠い目を擦りながら、一階へと降りる。キッチンの方向からは良い匂いがしてくる。
顔を洗い、リビングへと入るとひなが机によく焼けたトーストを配膳してくれていた。
「おはよ、ひな」
「お、おはよう、あやちゃん。朝ごはんできてるよ」
ひなは昨夜の出来事が恥ずかしいのか目を逸らして、コップにお茶を注ぐ。
「なんだかうちにひなが嫁いできたみたい」
「へっ?!」
朝、起きたらひながご飯を作ってくれている、なんてあまりにも良すぎる。今はしていないがエプロンなんて着ていた暁には尊死してしまうだろう。
「も、もう!あやちゃんったらまたそんなこと言って!」
ひなは顔を真っ赤にしてそう言う。怒ったように頬を膨らませてかわいいことを言ってくるものだから思わずその頬を押してしまう。
「怒っちゃったかな?ごめんね?」
「あっ!…お、怒ってないから大丈夫だょ…」
しゅんとした様子で謝るとひなは慌てて訂正する。
やはり昨夜のことを気にしているのか、どこかよそよそしく、目線が合わない。そんなことを悟られまいと元気に振る舞うひながとてつもなく愛おしい。
「ひな、なんかよそよそしくない?」
私はあえてそう聞いてみる。
「へ?!そ、そんなことないよ!」
ひなは慌てて訂正する。ひなったら図星なことが丸わかりじゃないか。ひなは必死に言い訳をしようとしているが言葉になっていなくて、可愛い。
そう?とだけ返事をしてトーストを食べきる。
昨夜の思い切った行動でひなも意識してくれているし、概ね計画通り。むしろ計画よりも良い結果と言えるだろう。
ひなとすぐにでもイチャイチャしたい衝動を抑えつつ、今後の計画について改めて考えることにした。
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