第7話
本屋を後にした私達はカフェでゆったりと休んだ後、駅へと向かった。
ちょうど帰宅ラッシュの時間のようで少し混んでいる様子だった。せめてドア側にでもと思い、なんとかドアの近くに立つことができた。
ひなも心なしか苦しそうに見え、カフェに寄るべきではなかったかと後悔する。
ひなの頭を眺めているとひなが少し震えていることに気づく。人混みと電車の揺れで酔ってしまったのかと不安になる。
ひなができるだけ楽になればいいと思い、動かしづらい腕を無理やり動かし、ひなを抱きしめようとした。
ひなの腰へ手を添えようとすると、ひなのお尻にゴツゴツとした男の手があることに気づいた。
その瞬間、頭から背中にかけて冷たい何かが走る。
は?なにこのおっさん。なんで私のひなに触ってんの?これ痴漢だよね?ひなが怖がってんじゃん。きもいきもいきもいきもいきもいきもいきもいきもいきもいきもいきもいきもいきもいきもいきもいきもいきもいきもいきもい…
私は駅についた瞬間、そのおっさんをホームへと蹴り飛ばした。周りの乗客がこちらを見ているが気にしない。しっかりとひなを抱きしめ、周りにも聞こえるようにしっかりと言う。
「ひなに触ってんじゃねぇよ、クソが」
想像していたよりも冷たく低い声が出てしまった。ひなを怖がらせてしまったかもしれないと焦って様子をみる。ひなは震えは止まっていたものの驚いた様子でこちらを見ている。
「あぁ…ひな、ごめんね気づけなかった…。大丈夫?気持ち悪かったよね?」
私はできるだけ優しい声でひなに話しかけ、頭を撫でる。ひなはコクコクとうなずいているがまだ少し動揺しているようだった。
その後、駅員さんがすぐに駆けつけ、周りの乗客の証言とともにあのおっさんは逮捕される事になった。
パトカーで送ってもらっている間にひなは落ち着いたようで涙目で「ありがとう」というと私の胸へと抱きついてきたのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます