第12話 封印

気がつくと和室の一室にいた。

まだ体が重い、恐らく怨霊の悪い氣をもらいすぎたせいだろう。外に出たらこの家はとても広く屋敷のような構造で廊下が広く探索だと思い歩いていたら居間についた。

「おう、起きたか」

「あんた」

「まあまあ詳しい事は後にしろ」

テーブルをぽんっと叩かれた、恐らく目の前に座れと言う事だろう

「小鳥遊はどうした?」

「小鳥遊?誰だそれは」

「いやもう一人あの場にいただろう」

「ああ、あの子か」

この男は段々暗い顔を作って重い雰囲気を作った。それを見てもしかしたら怨霊のせいで何かあったのかもしれないと思い直ぐにあの場に戻ろうとした

「ちょっと待て、お前まだそんなに動けないだろ」

「うるさい、小鳥遊に何かあれば俺のせいだ」

そうして居間を出ようとした時にだった

「どうしたのそんな焦って」

「え?」

「なんで」

「なんでってこのおじさんに助けてもらったんだよ」

「おじさんって俺はまだ三十手前だぞ」

「私達の年齢からしたらもうおじさんですよ」

「そんな事言うなよ沙耶ちゃん」

「まあまあお茶でも飲んで落ち着いて、ほら安部君も」

言われた通りに座って話しを聞こうとした

「そう言えば俺はどのくらい寝てた?」

「一時間くらいだ」

「そうか」

「普通はあんだけの悪氣を浴びれば普通は三日は動けないはずなんだけどな」

「あっき?」

「さっきの怨霊が黒いオーラみたいの纏ってだろ」

「ああ?」

「それを俺達は悪氣と呼ぶ」

「そう言えばあの怨霊はどうなった?」

「俺が封印したよ」

「そうか」

「今度はこっちが聞く番だ、お前らはなんなんだ?」

「なんなんだって言われても」

「お前は安部の名前もしかして晴明の末裔か」

「そうだけど」

「そうだけどって、まじか」

「そんなに驚く事なの?」

小鳥遊が我慢できずに聞いてきた

「安倍晴明は知ってるか?」

「まあ日本史の授業でちらっと」

「そうか、安倍晴明は実在した言わずと知れた伝説の陰陽師だ」

「本当にいたの?」

「ああ、こっちの世界ではその末裔ともなれば天皇レベルで大切にされる人間だ」

「まじ」

「あんまり深堀はされたくはないんだが」

「沙耶ちゃんが無事だったのもこいつの結界で守られてたからだ」

「そうなんだ、ありがとう」

「で、お前の力はなんだ?」

「霊札を使って術をだす」

「式神術とはまた違うみたいだな」

「ああ、式神も出せるけど俺は霊札に好きな術を内包して使うことができる」

「はは、チートだな。さすが安部家の人間だ」

「つまりどういう事?」

小鳥遊にも分かるように霊札を俺は出した

「この紙は霊札と呼ばれている、これに使いたい術をコピーするんだ。分かりやすく言うと普段使ってるノートに物を浮かせたいって書いてそれが成功するとこの霊札を通して物を浮かせる事ができる」

「じゃあなんでもできるって事?」

「そういう事だ」

「安部は霊札を通さなくても使えるのか?」

「まあ使う頻度が多くなると勝手に脳に刻まれて考えただけで使える。」

「なるほどな」

「で、あんたは何者なんだ?」

「山背健だ」

「あんたもいい所の出身じゃないか」

「まあな」

「おじさんも凄い人なの?」

「おじさんって俺はまだ」

「こいつは山背って昔呪術の基礎を作ったとされてる人物の末裔だ」

歳のわりに余裕それを言われるとうるさいので遮った

「じゃあ凄い人なんだね」

「ふふ、分かったなら俺のことは健って呼んでくれ沙耶ちゃん」

「うーん、おじさんはおじさんはだね」

がっくしと気を落とすのが分かった、現実にこんなに気落ちするのを見るのは初めてだった

「安部はあの怨霊を祓いに来たのか?」

「ああ、俺のことは太一って呼んでくれ」

「分かった、じゃあ俺は健で」

「健さんは青森で活動を?」

「いや出張だ」

「依頼か?」

「俺もあの怨霊をなんとかしてくれって言われてな」

「おじさんも叔父を?」

「叔父ってあの怨霊は沙耶ちゃんの叔父さんだったのか」

「うん」

「なるほどな、だから祓うじゃなくて封印ってことか」

「そういう事だ」

誰も話してないのに声がする、こんな野太い声はあいつしかいない

「この声、また出た」

「おう、犬」

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