第5話 その頃の柳瀬 和樹と水無月 悠

◇◇◇柳瀬 和樹サイド◇◇◇

 「おーぉーぉ?白い部屋?………あるのはテーブル、イス、なんかついてるスマホ。どうすんの?」


 和樹が少々フリーズしているので青年のアナウンスが流れた。いや、流さざるを得なかった。


 〈どういたしましたか?サポート役の者ですが。〉


 和樹がびっくりして尻もちをついてしまったが、我に返った和樹が会話がなくならないようにとりあえず喋りだす。


 「どうも和樹です!その…あの…あのスマホで設定すればいいんですか?」

 〈ええ。お使いのスマホと同じような操作でできるので、分からない部分だけ言っていただければ。〉

 「オッケーオッケー。」


 というように、和樹が設定しようとしたのだがどれが良くて分からなくてってきたので、サポート役の人にエルフっぽくお願いしますと言い、サポート役の人がエルフっぽく作ったそれを自分でアレンジして完成させた。


 その裏でサポート役さんが怒っていたとかいなかったとか。


 その後、設定を終了した和樹は、サポート役の人に言われた通り♦煉瓦♦の扉を開けて出ていった。


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◇◇◇水無月 悠◇◇◇

 「白、テーブル、イス、指示付きスマホ。…………たぶんプレイヤーメイク。みんなが個室で周りを気にしないようにかな。」


 悠が広くない室内で体を伸ばしたり飛んだりしている。その後、悠は少しびっくりした様子を見せたあと元の表情に戻り喋りだす。


 「凄いな。多少の違和感があるけど、どっちかというと僕のイメージの方がついていってない感じ。」


 悠にとっては一区切りがついたのか、スマホで設定を始めていく。

 悠が設定で気になることを聞く。


 「誰か聞いてると思うけど、種族ってどんな人たちがいるの?あと種族固有の能力だったりステータスの上がり方も変わるんだよね?」

 〈…………………………は…い。担当の上の者に変わります。…………………ただいま変わりました。あなたのようにこちらの世界を一番最初に質問したのは貴方だけです。ですので、ここからはヴァルキリー隊の私が貴方の担当とさせていただきます〉

 「それはすみません。前の方に悪いことを。」

 〈いえ、悠様が気にすることではありませんので。それと、先程の質問なのですが人類には多種多様な者がいます。流石にすべてを言ってしまうと面白みにかけますので大まかのものだけですが、ドワーフ別名巌男、エルフ別名守り人、獣人別名狩人

人族別名多人。これが1つの答えですね。〉


 〈次に2つ目の固有の能力。これは持っているものと持っていないものに分かれます。持っている人の中でも特に強い場合は、先祖還りとも呼ばれる現象が起こります。それ以外は、特に有用な能力じゃなければスキルがその分多いというぐらいですね。〉


 「へぇ~。当たり外れが大きいんだな。」


 〈そうなんです。次の3つ目はステータスについてですね?……ステータスの上がり方は自分のジョブがメインです。他に特別な道具や特別なスキルがあって上がりやすいとかならありえます。種族に関しては、こういう戦士や薬師などに成長しやすいと種族ごとに目安がありますね。〉


 「そっか。ありがとうお姉さん。ついでに左手の甲のやつって何ですか?」


 〈あぁこれですか。これはですね。ご自身のステータスを見たり、使い魔などは待機、一般的には使い魔のお家ですね。それと、アイテムボックスとしての機能もあります。他にもアイテムボックスは現地で売ってたりしますので有効に活用してください。最後に、その紋様は白天、ご自身の行動や心理などあらゆる計算が行われ、1人1つしかないスキルが手に入ります。ただ、有用か使えないかは、我々ヴァルキリーでもなんとも言えないことなんです。

もし、なにか気になったことがあったら白天から連絡してください。〉


 「そうなんだ、色々ありがとう。後ろのボロボロの扉で次に進めるんだよね。じゃあもうちょっと情報交換していきたいな。」


 〈ふふっ…そうですね。お茶を準備するので待っててください。ここでは、あちらの世界の時間より4倍ほど早いですから。

タッ……タッ……タッ……タッ〉


 「時間が?……………これはしっかり聞いたほうがいいな。あの感じだとこっちに姿を見せてくれそうだし。」


 それから、悠改めグレイはヴァルキリーでサポート役の人と一緒に紅茶を飲み色んな情報を手に入れた。

 何と言っても、ヴァルキリーのお姉さんがおっとり系で仕事できる系美女だった。


 最後に、グレイが扉の件でどこに行くのか聞いてみても一切教えてくれることはなかった。扉を増やすことも駄目だった。

 結局開けたのはボロボロの扉であった。

 この扉にどんな罠があるのかまだ誰も知らない。


 (知って人はいる。今頃お酒でも飲んで笑っている人もだろう。真面目に動かず計算し続けているものも。)

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