世界は世界を救いたい。~ここで生きるより、ここでみんなと生きたい

第1話

 21xx年。ゲーム世界で自身の体を動かすようにバーチャル空間で遊べる、画期的なゲーム機器が開発された。

 そんな【夢】のようなゲーム。

ただの…………いや、天才でもつくれるかどうかわからないゲーム。本当に、【人間】がつくったのだろうか。


◇◇◇


 「いや~、マジでクーラー最高!」

外から帰ってきた男、この本の主人公

【佐伯 影兎】の第一声だ。

さらに影兎は、自分の部屋で早速とばかりにVRゲームをするためにコフィンのフタを開けて、確認を行っている。

♦⚠♦

 コフィンとは、人が寝る体制で専属のゴーグルをかけて、コフィンの中にある自身の体を動かさずにバーチャル空間内にある自身のアバターを動かすことが出来るようにする、サポートVRゲーム機器。

 ちなみに専属のゴーグルは、視界をふさぐと危ないため、某子供探偵用メガネのように、前方が見えながら文字などを表示することができるようになっている。見た目は、スキーのゴーグルが全体的に機械っぽくなっていて、前の方が透明な液晶画面?な感じ。

 さらに、このとんでも技術は、勿論の如く医療関係にも使われている。


◇◇◇


 「今日は、クラスのみんなが雷鳥のダンジョンで素材集めするって言ってたな。あの2人は、いまさら雷鳥のダンジョンに行かないだろうから、例の錬成レシピの素材を集めるために、レベル上げしようかな。」


 そうして影兎は、コフィンの確認をしながら今日の予定を決めていき、コフィンの中に入れていた専属のゴーグルをかけ、コフィンの中にある電源ボタンを押してから、コフィンの中で横になる。


 コフィンの中で横になった影兎は、ゴーグルの横に付いているボタンを操作しゲームを開始する。すると、女性の声でアナウンスが始まり、ゴーグルに字幕が出る。


〈ようこそ、Cubeに接続します。貴方の旅に幸せを。〉


 アナウンスが終わると、男の意識、視界が暗くなっていく。真っ暗になったあと、男がまばたきをしたと思った瞬間、そこには、木材の天井と視界の中央に字幕が表示されていた。

 〈セラヒィムの王都、セラリア〉


 「確か前回はここのダンジョンでレベル上げをしたんだったかな? まぁとりあえず移動するか。」


 影兎は、セーブポイントとして使える宿屋の2階の部屋から、1階に降り、カウンターでチェックアウトをする。すると、NPCのキャラから声をかけられる。


 「ラビックさん。また、修練世界に行ってたんですか?4泊分の宿代払ってくださいね?もちろん!旅人セットでも大丈夫ですよ。」

 「あれそうだっけ?1日抜けてたか。

わかったよ。旅人セットでお願い。」


 受付のNPCキャラから、影兎のアバターネーム【ラビック】と声をかけられたのは、ご覧の通り宿代だった。影兎=ラビックは、腰にかけてあるポーチから金貨2枚をカウンターに出したあと、左手の甲にある黒天を触り、簡易ステータスを表示させて、受付のNPCキャラに見せる。


 「うん。必須の刻印と名前、確認できました。宿代も金貨2枚ぴったりなのでチェックアウト完了です。貴方の旅に幸せを」


 その後、宿屋を出た影兎(ゲーム世界では、アバターのラビックを平均的に使っていきます。)ラビックは、自身の左手の甲に視線向けつつ、右手でも触る。

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