第6章 16話 今は一緒に眠ろう①

 ゆん菜は窓際にすわり、耳を澄ましている。

 だが、いつまでも経っても物音はしない。


 訪問者が庭を歩く音、玄関のドアを叩く音。


 もうどれくらい待っているだろう。


 すっかり夜は更けていた。風が庭の木々や窓、ゆん菜画すわっている椅子を冷やしていく。


 ホームパーティーの予定の時間はとっくに過ぎた。


 宵の時間も過ぎた。優夜と一緒に、誘宵の月の祝福ももらいに行けなかった。彼がなぜか帰ってこないからだ。


 優夜は日暮れ前に帰ってきて、ホームパーティーの準備を手伝ってくれるはずだった。だが、なぜかまだ姿を見せない。


 ゆん菜は一人でパーティーの準備をした。


 なんとか予定の時間には間に合ったのに、リアナディーテもナノンも、姿を現さない。


 過ぎていく時間が、ぴりぴり肌に刺さった。


 ……負けないもんね。


 もしかしたら、優夜が連れてきてくれるなんてこともあるかもしれない。悪い風に考えるのはやめよう。


 夜空を見上げたゆん菜は、目をみはった。


 窓の外に見える星座が、さっきよりずっと動いていることに気がついた。


 知らない間に、かなり時間が経っていたようだ。


 目に涙が浮かんだ。


 王妃さまもナノン王子も来ない。


 本当に、もう来ないんだ……。

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