独楽者 ‐前代未聞の召喚魔‐

杉崎

第1話 プロローグ




 まず自己紹介をしよう。




俺の名前は飛山ひざん 恭弥きょうや




 7歳のときに友人に勧められとあるスポーツを始め、それから高校卒業までこのスポーツ一筋で生きてきた文武の武に95%を注ぎ込んできた男である。(残りの5%でなんとか高校卒業まで漕ぎつけたZE☆)


 本人に悪気はこれっぽっちもないが、普段から部活動のことしか頭になく部活動が始まるまでの学校生活では酷く無愛想になってしまう。その影響もあり、クラスや学校のみんなからは少々嫌われ気味だった。


 このようにスポーツしかやってこなかった人間なのだから体育会系、熱血系だと思われるかもしれないが、自信満々に振舞えるのはスポーツをしているときのみ。幼少期に軽いいじめ(仲間外れ、軽い暴力、陰口など)を受けたことがトラウマになり、それ以降はなるべく他人と深く関わるのを避ける傾向にあった。深く関わると裏切られたとき効果抜群だよね!ハハハ...。何があったかは伏せておこう。




 ここまでの話を聞くと「お前友達いたの?」って思う人もいるかもしれないが、心配しなくてもいたよ。丸くて、ずっと一緒にいてくれて、練習にも付き合ってくれて、寝る時もずっと一緒だったよな!!








いやそれボールやないかい!!








そうだわ。俺友達いなかったわ。人と喋ってた時間よりボール触ってた時間の方が長いレベルだわ...。「ボールは友達」なんて言葉があるが、これは俺のための言葉だといっても過言ではないな。




大丈夫!気にするな!俺は一人の方が好きなのだ!


 






 さて、前述のとおり、俺は学生の間ほとんどスポーツしかしてこなかった。もちろん、プロになるというのを目標に掲げ突っ走ってきた。これでプロになれたのならまだしも、俺には才能がなかった。才能がなかったってのは言い訳に聞こえるだろうが、才能のせいにしたくなる気持ちもわかるよな?・・・・・・わかってくださいお願いします...。


 もうわかってるだろうが、俺はプロにはなれなかった。ちなみに俺にこのスポーツを勧めてくれた友人はエリート街道を突っ走っていってプロになってたよ!!悔しいです!!今では疎遠になってしまったがね。




 そんなことはさておき、ここで既に気づいた人もいるかもしれないが、とある疑問が浮かび上がってくる。




「将来のことは考えていたのか?」と...。




これがなーーんにも考えてなかったんだよね!てへ☆


スポーツだけやってればいいと思ってたよ!ハハハ!




いや、今の状況を考えるとまったく笑える話ではない。


 実は高校卒業した後スポーツ推薦で大学へ進学していたのだが、人間関係などの理由で辞めてしまったのだ。親元を離れ、悩みを相談できるような友人もおらず、両親とはもともと会話をすることが少なくなっていたため誰にも相談できず、大学には一年間通っていたのだが、後期の間、軽いうつ病になっていたのだ。


この話を詳しくするのはやめておこう。あまり思い出したくもないしな。


 では、今何をしてるのかって?






 正真正銘のエリートフリーターなのだよ!!!!


 




 テキトーに出勤して、テキトーに働いて、テキトーに帰宅する。テキトーに飯食って風呂入って、最近ハマっているライトノベルを読んで、テキトーに寝る。こんな日々を繰り返している。(因みに最近成人したばかりである。)


 もちろん、彼女がいるわけもなく、その辺の安アパートで独り暮らし。このまま孤独に死ぬんじゃね?なんて思っている、これが今現在の俺だ。


 


 長々と自分のことを話してきたが、暗い話題多くね...??






まあいいか。






自己紹介はこの辺にしておこう。




 




***








2023年 2月9日


 


 俺はいつも通りテキトーに働いて家に帰ってきて、テレビを見ながら最近飲めるようになったお酒を片手に、自分で作ったTHE・男飯って感じの牛とじ丼を食べているところだった。フライパンで牛肉を炒め、だいだいや焼き目がついたところで卵を2個入れてから卵の黄身を割って肉全体に馴染ませる。続けて焼き肉のたれを適量入れ、からめ焼きをしたら、器に盛ったご飯の上にダイブさせる、これだけだ。


 ただ単に食べたかったものをフライパンで焼いて混ぜただけなのだが、これがなかなかに旨い。最初に口に入れた時の衝撃は忘れられない。「俺料理旨くね?」と勘違いするところだった。さすがにそこまで馬鹿ではない。・・・いやあ、危なかった危なかった...。


 そんなことはどうでもいいとして、俺が仕事終わりの至福のひと時を楽しんでいるとスマホの通知音が鳴った。


 


 


 「LIN〇♪ LIN〇♪」


 




 「誰のスマホの通知音だ~??」




なんて言ってはいるが、もちろん俺は正真正銘の一人暮らしである。俺のこのパーソナルスペースに他者が入り込むなどあり得る話ではないのだ。


 ではなぜ、このようなバカなことを言っているのかって?


 俺のスマホの通知音が鳴るなんてありないことなのである!!!


 俺は使用するすべてのアプリの通知は鬱陶しいからという理由でオフにしてある。そもそもLIN〇に関しては悲しいことに、やり取りする相手がいるわけもなく数か月前母親と少しやり取りをして以来、開いてすらいないのだ。




 「泥棒か~~??」




なんて言いながら部屋のありとあらゆるスペースを探し回った。まあ安アパートなのでそこまで探し回るスペースがあるわけではないのだが...。もちろん泥棒なんてのはいなかった。


 そこでようやく、部屋中を見渡したおかげか、食べかけの牛とじ丼の横においてあるスマホが目に入る。あれは俺のスマホだ。いや、まさか、そんなわけないだろうなんて思いながら恐る恐るそのスマホをタップすると・・・2件の通知が来ていた。


 いや普通どんな状況でもまず自分のスマホを確認するだろ!しかも独り暮らしならなおさら!ってツッコミたくなる気持ちもよーーくわかる。てか、俺もそう思う。


 だがしかし、この時の俺はお酒に慣れていないこともあってか、馬鹿みたいに酔っており、脳みそが正常に機能していなかったのだ。だからこのような馬鹿な行動をとっている。そうだ、前提として、こいつは馬鹿なのだ。








「俺の...スマホ...だと...!?・・・しかもLIN〇!?」










 俺のスマホに2件のLIN〇がきていた。


この事実に衝撃を受け、驚きのあまり腰を抜かす。


なかなか立ち上がることができない。ふざけてるように見えるかもしれないが、本気で腰を抜かしているのだ。


 頑張れ...俺!  立ち上がるんだ...俺!!




・・・10分後、ようやく立ち上がることができた。よく考えれば立ち上がる必要はなかったのだが...。


恥ずかしそうにもう一度座りなおして、LIN〇の内容を確認する。






 「今月の25日に同窓会をするから参加不参加投票してね~」






 この文と投票箱の2件だった。 


少しばかり期待した俺が馬鹿だった...。・・・まあいいや。


大体想像はつくと思うが、高校3年生のときに最低限の交友関係は持っておいた方が良いと思い強引に入れてもらったクラスLIN◯だった。


送信者は...












 












 「久我くが 慎吾しんご








  














  「・・・誰だっけ?」


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