少年少女A
5の遣い
第1話紆余曲折
ある家から母親、それと男女の双子が遺体で発見された。
家はほとんどが焼けていた。断片的にいくつかのものが見つかった。
その中には
「焼け焦げた4人の写真」
「角が焦げて判別不明の文がかかれた紙」
があった。
そんなニュースが朝から流れる。
「朝からこんなニュースが流すなよ。」
「それで無くてもこれから働きに行かないといけないという鬱に襲われてんのに。朝ぐらい明るいニュースで活力を供給してくれよ〜。」
そんな事を朝から思いながら、支度をし、出勤した。俺は新社会人だ。
長い就職活動の中でやっとの思いで入れた会社で人間関係が上手く築く事が出来ず、仕事も上手くいっていない。
「はぁ…」
そうため息をつくことも最近増えてきた。
「今日も頑張ろう。」
そう一言呟いてから家を出る。
そうつぶやくことで自分を前向きにして行かないとやってられないだけなのかもしれないけど…
会社に着くと朝一番大きな声で
「おはようございます!」
と挨拶をする。
これも人間関係を良くする為にと買った本に書いてあった事だ。
「おはようございます!」
そう返事をしてくれる人はほとんど居ない。
なぜなら俺はみんなから変な奴だと避けられているから…
俺の名前は「立花 空(たちばな スカイ)」
だ。
この名前が僕の人生を全て壊した。
人間関係も。僕の性格。生活も。
いわゆる差別を、受ける原因となったから。
「何で…何で…こんな名前をつけたんだ。」
そんな感じで何度も両親に訴えかけたことだってあった。
けど…親は何もしてくれず死んでった。
残してくれたのはこの最悪の名前と遊びで作った借金だけ。
そう俺は借金にまで追われている。
そこで俺はある決心をした。
「いっその事消えてしまおうと。」
ここまで頑張って来たのに…報われると思ってここまで頑張ってきたのに…俺の人生などひとつも変わることなどなかった。頑張っても無駄だというのなら静かに死んで消えてしまおう。その方が僕にとっても…他の人達にとってもいい事だろう。我ながら名案だ。
そんな事を考えながら仕事も終わり、帰る。
僕の中で良かった事とはもしかしたら
人間関係以外はまともな会社に入れたことなのかもしれない…給料もそれなりに良く、会社のタスクも明らかに多い訳でなく、1人でも何とかこなせる量だ。有給だってちゃんと取ることが出来る。
ある人々から見ればブラック企業では無い会社に勤められている時点で幸せなのかもしれない。
けど、僕はこの会社に、居てわかった。
たとえ良い環境の要素がいくつか備わっていたとしても、一つでも欠けていたら幸せになることは難しいのでは無いか…?と
人間は愛情の生き物だと。そんな言葉を1度聞いたことがある。ならば、人間関係という感情に最も関わる要素が欠けていたのでは幸せにはなれない。そう思う。
今まで辛かった。
俺は帰りの電車に飛び込もうと…決めた。
とうとう駅に着いた。
予定の電車が来るまであと3分ぐらい。
この3分は僕にとっての、残りの人生。
「呆気ないものだな〜。」
そう感じた。
「死ぬ時って本当に走馬灯が流れてくるのかな…まぁ、そんなものが流れたってろくな事が無いだろうけど。時間って本当にゆっくり流れるのかな?そうだとしたら少し面白いかも。」
そんな事を考えていたらワクワクした…
すると、アナウンスがなった。
「1番線に電車が参ります。黄色の線よりお下がりください。」
さぁ…僕の人生も終わりだ。
「来世はもっと幸せになりたいな。」
そう呟いて僕は歩みを進めた。
迫りゆく電車の音を聴きながら……
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