第11話 あなたに見せたかった―

 久しぶりに部室に来た。二週間ぶりくらい? この前桜さんとジムには行ったから、完全に身体がなまっているわけではない。

「お疲れさまです」

「あれ? 未来ちょん久しぶり! よかった、まど辞めてなかった」

 上級生から声をかけられる。そんな流れで、お目当ての吉田さんに話しかける。

「吉田さん!」

「あっ、何? 久しぶりだね。心配してたんだよ」

「私は6級登れるようになったんです。桜さんにこんちしてもらいました」

「へえ、登れるようになったんだ。がんばったね」


 家で練習をしてた報告はできた。あとは野となれ山となれ―。

「この週末、隣の県のボルダリングジムに遠征しませんか? 二人で」

 遠征、普段のホームジムとは違うボルダリングジムに向かい、普段と違う空間を楽しむこと。吉田さんは勉強やバイトもしているから、けっこう忙しい。でも遠征も好きなはず。

「吉田さんに6級登っているとこ見せたいです」


ボルダリングを好きな男性の口説き方、役に立ちますよ。

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